市川海老蔵(44)が7日、東京・歌舞伎座で、13代目市川團十郎白猿襲名披露の演目を、8代目市川新之助として初舞台を踏む長男堀越勸玄君(9)とともに発表した。海老蔵は「一層歌舞伎が発展しますよう、懸命に努力いたします」と話した。

「十一月吉例顔見世大歌舞伎」(同7~28日、東京・歌舞伎座)は、昼の部は新之助による「外郎売」、團十郎白猿による「勧進帳」、夜の部は2人による「口上」「助六由縁江戸桜」。

「十二月大歌舞伎」(同5~26日、同所)は、昼の部は團十郎白猿による「押戻し」、新之助による「毛抜」、夜の部は「口上」「助六由縁江戸桜」。新之助は粂寺弾正を成田屋の歴史の中で最年少でつとめる。

20年5~7月に襲名披露興行を行う予定だったが、コロナ禍で延期になった。海老蔵は「おのおのが苦労した2年半でした。役者も会社も、ご覧になる方々も、裏にいる方々も同じ思いで時を過ごしました。コロナ禍が続いておりますが、襲名披露が執り行えることで、新しい光になれるよう皆が願っていると思います。それに応えられるよう、ある意味準備期間をいただいたと思って感謝しています」と前向きに語った。

勸玄君は「やはり僕は歌舞伎が好きなので、楽しみにしています」とあいさつした。

歌舞伎十八番の代表演目に團十郎白猿として臨む気持ちを聞かれ、海老蔵は「私の中身がいきなり変わるわけではございませんし、魔法のように1日で変わるわけではない。子供のころから父の背中や、襲名興行も見てきました。大変苦労している姿も見ております」と父で12代目團十郎さんをしのびつつ「苦しむ、あがく、しかし歌舞伎に向き合う、そういう自分に期待しながら、父から教わった市川家の芸である弁慶や助六をつとめたい。お客様の目に何か変わったと思われるようになりたい」と話した。

成田屋の歴史の中で「毛抜」の粂寺弾正を最年少でつとめる勸玄君は、2~3カ月前から稽古を始めているという。21年1月に海老蔵の粂寺弾正を見て、挑戦したい気持ちが高まった。自信のほどを聞かれ勸玄君は「分かりません」と答えたが、海老蔵は「彼は祖父、つまり私の父12代目に似ている。おおらかなんですね。おおらかさは歌舞伎十八番に大事で、粂寺弾正に必要な資質。稽古の真っ最中ですが、何とか間に合うんではないかというふうに思っています」と期待を寄せた。

この日の会見を、勸玄君は「45点」と厳しめの自己評価をしたが、海老蔵は「よく言えたのではないでしょうか。彼の意志も含まれていたので満点です」。19年1月に襲名発表をした時と同じ、歌舞伎座舞台上での会見で、海老蔵は「以前も同じような形で…、申し訳ないというか」と苦笑いした。

全国各地の興行スケジュールも発表された。23年3月は地方巡業、9月は福岡・博多座、10~11月は地方巡業、12月は京都南座、24年2月は名古屋・御園座、9月は地方巡業、10月は大阪・松竹座。