手塚治虫作品初の歌舞伎化となる「新選組」が、5日に初日を迎えた東京・歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」の第1部で上演された。

中村歌之助(20)が歌舞伎座初主演し、兄福之助(24)とともに若き剣士を演じた。成長と友情、復讐(ふくしゅう)のむなしさも描いている。

歌之助演じる主人公が、新しい世の中への希望を見いだす場面では大きな拍手が送られ、歌之助も感慨深そうに劇場内を見回した。

上演後、日刊スポーツなどの取材に応じた母三田寛子は「胸がいっぱいで言葉にできません。ここから精進して頑張ってほしい」と感激し「今朝は声を掛けられなくて背中を見送りました。初心を忘れないように、と言葉を掛けてあげたい」と、ホッとした様子だった。

ブラック・ジャックがちらりと登場したり、新選組の芹沢鴨の宴席で鉄腕アトムのテーマ曲が流れたり、漫画風の書き割りが使われるなど、手塚作品がちりばめられた演出。中村勘九郎が近藤勇、中村七之助が土方歳三と、なじみのある人物たちも登場する。

第1部はほか、勘九郎、七之助らによる「闇梅百物語」、第2部は、松本幸四郎、勘九郎らによる「安政奇聞佃夜嵐」、市川猿之助、市川團子の「浮世風呂」、第3部は幸四郎、猿之助らによる「弥次喜多流離譚(やじきたリターンズ)」。30日まで。