福地桃子(24)が5日、東京・新宿武蔵野館で行われた主演映画「あの娘は知らない」(井樫彩監督、23日公開)完成披露試写会で「天音さんで本当に良かった」と、共演の岡山天音(28)に感謝した。

福地は劇中で、若くして海辺の町にある旅館・中島荘を営む中島奈々、岡山は同荘を訪ねる青年・藤井俊太郎を演じた。互いの印象を聞かれると、福地は「役だったり、普段の天音さんにも、私はこういう風に言えるな、という立ち居振る舞い、いかたで…。常に誰もいないところで、何か種をまいているような…。天音さんが通っているところで、気付かないところで花が咲いているような方だなと思っていて」と岡山を評した。その上で「私は俊太郎さんとのシーンで、たくさん、奈々という人を引き出してもらった体験があったので。この役は、きっと天音さんじゃなかったら違っただろうし、天音さんで本当に良かった。こうやって今、伝えられたことがうれしい」と岡山に視線を送り、目を潤ませた。

一方、岡山は「最初、本読みの時、とても品がある方だなというイメージがあった。声が小さいなぁ…」と福地の第一印象を語った。その上で「ただ、線の細さがあるんですけど、非常にパワフルで座長を全うしようとして、作品のあらゆることに正面からぶつかるパワフルさも、ともにある感じ」と評した。そして「なかなか出会ったことのない方、というイメージはありますね。繊細さと力強さのバランスが不思議だと、現場で感じていましたね」と笑みを浮かべた。

福地は最後に「私自身、この映画を通して、日常の中にある小さな幸せ、ほっこりした体験だったり、人との関わりの中で、出会いの連続なんだなと思える…前向きになれる気持ちもあった。ちょっとでも、そういう思いが届いたら、うれしいですし、見ていただいて、どう受け取ってもらえるのか、これからすごく楽しみ」と胸がいっぱいの様子で語った。

「あの娘は知らない」は、芸能事務所レプロエンタテインメント主催の映画製作者発掘&映画コンペティション企画「感動シネマアワード」グランプリ作品の映画化作品。観客の心を揺さぶる企画を全国から募集し、同社出資のもと同社所属の新進気鋭の6俳優から1人を主演に選び、映画を製作する企画概要と脚本を応募する部門で、選ばれた6つのグランプリ作品の1作。井樫監督は、17年に世界3大映画祭の1つ、フランス・カンヌ映画祭の学生作品を対象としたシネフォンダシオン部門に「溶ける」がノミネートされ、18年には初の長編映画「真っ赤な星」が公開された、新進気鋭の女性監督。

◆「あの娘は知らない」中島荘が休業中の9月上旬に、俊太郎が「どうしても泊めてほしい」と訪ねてきて、1年前に失った恋人が亡くなる直前、この旅館に宿泊していたと語る。奈々は亡くなってしまった俊太郎の恋人のことがすぐに思い当たり「笑顔が印象的でした」と振り返る。俊太郎は恋人の死を理解するために、その足跡をたどって昼も夜も町に海にとさまよい、歩き回る。そんな俊太郎の姿を目にしていた奈々は、この土地の案内役を買って出て、いつしか彼と行動をともにするようになる。