大相撲元大関の演歌歌手増位山太志郎(73)が28日、東京・墨田区の老舗レコード店「セキネ楽器」を訪れ、自身が経営する飲食店「ちゃんこ増位山」特製のちゃんこ鍋を差し入れした。

「コロナ禍でレコード店は大きな打撃を受けて疲弊している。歌手にとっては、こういう老舗レコード店に頑張ってもらわないといけない。ちゃんこを食べて元気になってもらおうと思いました」。2月に発売した新曲「おとなの春に…」のタイトルにかけて「春は必ず来るから。頑張って」と重ねて激励した。

「ちゃんこ増位山」も同区内にあり、同じようにコロナ禍で打撃を受けた。「お客さんが来なくても光熱費や人件費はある程度かかる。店は少しずつお客さんが戻ってくるようになりました。今が最後の頑張り時です」。

1972年(昭47)に「いろは恋唄」で歌手デビューして50年。「多くの人にお世話になってここまで来ることができた。この年になっても大好きな歌を歌えて大きな財産です。幸せです」。一時、日本相撲協会が力士のレコード発売などの副業を原則禁止していた時期があった。当時を振り返り、「また歌えるようになった時に、女房が良かったねと言って泣いていた。再び歌えるようになって本当に良かった」と感謝した。

13年11月に日本相撲協会を定年退職し、本格的に歌手活動をスタートさせて来年で10年の節目。77年発売の「そんな女のひとりごと」で130万枚を売り上げた甘い歌声は今も健在だ。「これからも歌い続けます。そして、人を元気づけるデリバリーも機会があればやりたい」と力を込めた。