大相撲元大関の演歌歌手増位山太志郎(73)が先日、東京・墨田区の老舗レコード店「セキネ楽器」を訪れて、自身が経営する飲食店「ちゃんこ増位山」特製のちゃんこ鍋を差し入れしました。「コロナ禍でレコード店は大きな打撃を受けている。ちゃんこを食べて元気になってもらおうと思いました」。2月発売の新曲「おとなの春に…」のタイトルにかけて「春は必ず来るから頑張れ」と激励をしたんです。

これまで、増位山を何度か取材をさせてもらっているのですが、最も印象に残っている言葉は「女性には優しくしないといけないよ」です。

増位山は父親も元大関。巡業などで家を空けることが多く、いつも家には祖母、母、妹の4人でいました。

約3年前、取材でこんなことを言っていました。「おふくろの強さはすごかった。留守を預かっていると、いろいろな人が来るんですよ。ある日、大人の男の人が子どもを抱いて来てね。『うちの女房が昔、親方にお世話になった』と。おふくろは『ちょっと待ってくださいね』と言ってお金を包んでいるんだよ。その人はそれで帰った。『うちの女房が-』の話がうそか本当か分からないけど、おふくろはすごい。びくともしないもん」。

いつも女性に囲まれ、母親のすごみを間近に見て育った増位山。この話に続けて、女性観を次のように語りました。

「女性には優しくしないといけないよ。獲物を捕まえたみたいな感じで女性に接したらダメ。物みたいに扱うのはいけない」。

増位山は見たとおりに甘いルックスだし、若いころは女性にすごくもてたと思います。そういう話も少~しはしてくれましたが、根っこには女性を大切に思う心、気遣いが常にあったように思うのです。

男女の性差で区別をするなとお叱りを受けるかもしれませんが、著名人による「性加害」を見聞きする度に、「女性には優しくしないといけないよ」という増位山の言葉を思い出します。【松本久】