吉岡秀隆(52)が21日、主演映画「Dr.コトー診療所」(中江功監督、12月16日公開)の撮影が行われた沖縄県・与那国島の、比川・総合センターで行われた凱旋(がいせん)プレミアに登壇。会場いっぱいに詰め掛けた200人の島民からの「コトー先生」の声に「ただいま。胸がいっぱい」と笑みを浮かべた。一方で、16年ぶりの新作、そして初の映画は、中江功監督(59)も完結編と位置付けている。吉岡は「五島健助として来ることは、もうありませんが、心の中でコトーを生き続けさせてやってください」と、島民にも自らの口で、集大成であると告げた。

吉岡はまず、03年のフジテレビ系ドラマを撮影する際に同局が当時2000万円をかけて建設した、志木那島診療所のセットを、柴咲コウ(41)と中江監督と訪問。劇中で演じた、医師のコトーこと五島健助が汗と涙を流したセットを見て「何だか…撮り残しているシーン、あったっけ? 何か不思議な感じ。いつでも、診察を始められる準備は出来ている感じ」と冗談交じりに言った。柴咲も「吉岡さんが、おっしゃったように撮りこぼしたシーン、あるかな? とドキドキしちゃう…来月、もう公開だしな」と笑った。

中江監督が「2人いるなら、リテイクできるな、という話をしていた」と笑いながら言うと、吉岡は「怖っ!! 本当に、やりかねない」と慌てた。柴咲が「ドラマだったらやりかねない」と続くと、同監督は「公開まで、まだ2週ありますもんね」と、まんざらでもない顔を見せた。

その後、3人は一般試写としては世界最速で上映されたプレミアの檀上に登壇。吉岡は「20年前、島の方がいなかったら、この映画は出来なかった。20年前の感謝で、この映画は出来ました。映画、どうでしたか?」と問いかけた。割れんばかりの拍手を全身に浴びると「もう満足です」と笑みを浮かべた。その上で「僕らの出来る精いっぱい。これ以上は出来ません、島民の方に見ていただきたいというのが原動力」と、完結編であることを改めて口にした。

◆「Dr.コトー診療所」 累計発行部数1200万部超の漫画家・山田貴敏氏の同名漫画が原作。2003年(平15)にフジテレビ系で連続ドラマ第1期が放送され、最高視聴率22.3%。04年には特別編と「Dr.コトー診療所 2004」が、06年には連続ドラマ第2期が放送され、最高視聴率25.9%を記録。それから16年ぶりの続編として、初めて映画化。ドラマシリーズでも演出を務めた中江功監督、脚本も連続ドラマ全作を執筆してきた吉田紀子氏と、スタッフが再集結した。

◆「Dr.コトー診療所」 本土からフェリーで6時間かかる、西端の美しい島・志木那島に19年前、東京からやって来たコトーこと五島健助(吉岡)は、島のたった1人の医師として島民全ての命を背負ってきた。長い年月をかけて、島民との信頼関係を作り上げ、島にとってかけがえのない存在であり、家族となった。そのコトーも52歳。数年前に結婚した看護師の星野彩佳(柴咲)も妊娠7カ月で、もうすぐ父親になる。島民の皆が「コトーがいるから大丈夫だろう」と思う穏やかな日々の中、志木那島も過疎高齢化が進み、、ある変化が忍び寄っていた。