「スペインに勝てば、いいんです!」。FIFAワールドカップ(W杯)サッカー日本-スペイン戦のフジテレビ系生中継(日本時間明日2日午前2時、同4時キックオフ)のメインキャスターを務めるジョン・カビラ(64)が11月30日、現地カタールに到着。メッセージを寄せた。

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カタールから、早朝の日本に気合を入れる。中東の熱風が、カビラ節に拍車をかけた。「Impossible is NOTHING! そう、『不可能』って意味がないんです!」。感情を高めるだけではない。冷静にデータからも番狂わせをあぶり出す。数々の記憶を脳内によみがえらせた。

「W杯の歴史的大番狂わせのサプライズ劇場をいくつかご紹介すると、1950年の米国1-0イングランド。1966年の北朝鮮1-0イタリア。1990年のカメルーン1-0アルゼンチン(前回王者)。1998年のノルウェー2-1ブラジル(前回王者)。2002年のセネガル1-0フランス(前回王者)、韓国2-1イタリア。2018年の韓国2-0ドイツ。今大会もサウジアラビアがアルゼンチンに2-1で逆転勝利! そして忘れていませんよ! 1998年、ナイジェリアがあのスペインに3-2で勝っています!」

11月27日のコスタリカ戦で日本は、痛恨の敗戦を喫した。高い授業料を払ったが、学ぶべきこともある。14年ブラジルW杯のコスタリカが、まさに今の日本と重なる。グループDはウルグアイ、イタリア、イングランドと過去の優勝経験国がひしめく「死のグループ」。だが下馬評を覆して1位突破したのは堅守速攻のコスタリカだった。ウルグアイを3-1、イタリアを1-0で撃破。勢いそのまま決勝トーナメントでも1勝を挙げ、初の8強に入った。「さあ今大会、無敵艦隊を撃沈するのはSamurai Blueの番なんです。2014年大会のコスタリカに次いで、優勝国2国にグループステージ勝利!」と興奮気味に語った。

データも後押しする。現行方式の98年大会以降、複数の優勝国が1次リーグで同組となったケースは4度。だが、王者チームが2チームそろって勝ち抜けたことは1度もない。「Samurai Blueサポーターの皆さん、日本時間午前4時スタート Impossible is NOTHING、上等なんです!」。カビラの絶叫が、森保ジャパンを後押しする。【高橋洋平】

◆ジョン・カビラ 1958年(昭33)11月1日、沖縄県生まれ。国際基督教大在学中、米カリフォルニア大バークレー校に留学。82年にレコード会社「CBSソニー」に入社後、88年にJ-WAVE開局と同時にナビゲーターとなる。04年度のギャラクシー賞「DJパーソナリティー賞」受賞。サッカー番組への出演多数。俳優の川平慈英は実弟。174センチ、血液型A。