受賞作と受賞作品を発表した、日刊スポーツ公式YouTubeチャンネルで昨年12月27日に配信した特別番組および、同28日付紙面とニッカンスポーツ・コムで紹介しきれなかった受賞者の方々のコメントも入れた、インタビューのロングバージョンをあらためて掲載します。

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洋画トップの興行収入134億円超を記録した、米俳優トム・クルーズ(60)主演の「トップガン マーヴェリック」(ジョセフ・コシンスキー監督)が、外国作品賞を受賞した。クルーズ主演作の受賞は、89年「レインマン」、04年「ラストサムライ」以来18年ぶり3度目。

配給の東和ピクチャーズ山崎敏社長は「受賞は、本当にうれしいです。『#追いトップガン』という言葉も出来たように、観客の皆様のための映画だったところが支持を得て、回って回って、次のお客さまを呼んだ。幸せでした」と受賞を喜んだ。

「トップガン マーヴェリック」は、クルーズの1986年(昭61)の出世作「トップガン」の続編だが製作、公開までに36年を要した。クルーズは22年5月に、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーを伴い、18年7月の「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」のプロモーション以来、3年10カ月ぶり24回目の来日を果たした。その際「多くのファンに何十年も続編を求められたが、準備が出来ていなかった。観客に戦闘機の操縦席に座っているように感じてもらう、感情的な作品…全ての要素がそろう、正しいところ(時期)を見いだしたかった。単に映画を作るわけじゃない。限界を超える何かが、もっと出来るんじゃないかと思い、作った」と、続編の公開まで36年、かかった理由を説明した。

クルーズは、飛行機の操縦免許を持つ自分だけでなく、共演陣も飛行中の戦闘機内で演技できるよう、3カ月のトレーニングメニューを組んだ。メーキング映像では、訓練の模様も紹介。「(86年の前作以来)36年ぶりに訓練を受けた」と笑うクルーズは、飛行訓練プログラムを自ら考案して現場をリード。天地が分からなくなるほど回転する特殊装置を用いた水中訓練や、F-18戦闘機の搭乗に到達すべく段階を追ってG(ゲージ圧)が上がっていく飛行訓練では、何人ものもん絶の瞬間が映し出された。さらに操縦席には、今作のために作られたIMAXカメラ6台を仕掛けて撮影するなど、リアルにこだわり尽くした。そのため、19年公開の予定が18年の段階で、製作の都合で20年6月(日本では7月)への延期が発表された。

山崎社長は「36年前の前作は、俳優として皆さんを魅了しましたが、今はトップ中のトップの映画プロデューサーとして、本当にお客さんに最高の映画体験を届けたいという、純粋な映画人としての熱意の、結果として出てきた作品が『トップガン マーヴェリック』でした」と、クルーズの製作の経緯を振り返った。その上で「やはり、トム・クルーズという人が、すごいのだと思います」とたたえた。

ただ「トップガン マーヴェリック」にも、20年初頭に全世界が見舞われた、新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した。同4月2日に、日本での公開が同12月25日に延期と発表されたが、同7月には全米公開が21年7月2日に1年、延期されたことを受けて再延期。そして同8月にも、同11月19日に日米同時公開が決定しながら、同11月には22年5月27日に延期された。

そうした逆風の中、同日に日米同時公開(全国381館、745スクリーン)されると同28、29日の週末2日間で興行収入(興収)8億2471万1300円、動員52万4843人、初日からの3日間では興収11億5756万4620円、動員74万7192人を記録。封切り3日間での興収11億円突破は、クルーズの主演映画では18年8月公開の「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」以来で、同作の8億6830万1500円を、3億円近くも上回る大ヒットスタートとなった。

公開65日目の7月30日時点で、累計興収は101億3036万3030円、動員は642万342人と興収100億円を突破。日本国内で実写映画が興収100億円を突破したのは、19年の「アラジン」以来でコロナ禍以降、初めてだった。クルーズの作品としては、03年「ラスト サムライ」以来18年ぶり2作目となった。

クルーズは「(予定していた20年の公開から)2年、待つことになった。でも今日のような時代だからこそ、ご覧になった皆さんに笑顔で楽しくなって欲しい。大きなスクリーンで見てもらいたい」と呼びかけた。そのメッセージを踏まえ、山崎社長は「コロナ禍の今だからこそ、映画館での体験を、という、魂を入れ込んだことが日本人の心にストレートに伝わったのだと思います」と語った。

クルーズは「トップガン マーヴェリック」ジャパンプレミアの場で、代表作の1つ「ミッション:インポッシブル」シリーズの7作目「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」(クリストファー・マッカリー監督、7月21日公開)と、2部作となる第8作(米国での公開は24年6月28日を予定)を引っ提げての再来日を宣言。「来年の夏『ミッション:インポッシブル デッド・レコニング』で必ず戻ってきますし、またその翌年も戻ってきます」と「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」を2部作を引っ提げての、2年連続の再来日を誓った。

「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」も配給する山崎社長は「洋画復活の、のろしを上げるような作品に関わることが出来てうれしかったです。我々も、映画館でしか体験できないというところを大事にやっていこうと思います」と誓った。【村上幸将】

◆トップガン マーヴェリック 米国のパイロットチーム「トップガン」は世界の危機を回避する絶対不可能な極秘任務に直面。達成のために加わったのは、史上最高ながら常識破りな性格で組織から追いやられたマーヴェリック(トム・クルーズ)だった。

※山崎社長の崎は大が立の下の横棒なし