宮沢氷魚(28)が6日、日本外国特派員協会で行われた映画「エゴイスト」(松永大司監督、2月10日公開)の試写と、会見に臨んだ。

米サンフランシスコ生まれで、幼稚園から高校までインターナショナルスクールに通い、高校卒業後、カリフォルニア大に2年間、留学した宮沢は、ネーティブレベルの英語力を発揮し、約1時間の会見での質疑応答の中で、日本語での2つの質問以外、全てに英語で応じた。

宮沢は冒頭で「こんばんは。お招きいただき、すばらしい松永監督とご一緒できて、非常に光栄に思っています。監督のことを、本当に愛しているので。ここに来るのが本当に、前々からの夢だったので、非常にうれしいですが、英語を使うのが久しぶりになりますの、万が一、お聞き苦しい点がありましたら、ご容赦ください」と、あいさつした。その後、身ぶり、手ぶりを交えて笑顔で答える姿で、冒頭のあいさつが謙遜であったことは、すぐに明らかになった。

宮沢は、主演の鈴木亮平(39)が演じるファッション誌の編集者・斉藤浩輔が指導を受ける中、ひかれ合っていくパーソナルトレーナー中村龍太を演じた。役どころを演じた動機について聞かれると「実は、この役は2度、打診があった。最初の打診は2年前でしたが、実現には、こぎ着けられなかった」と1度は企画が実現しなかったと明かした。

その上で「2回目にお声がけいただいた時、とある友人との個人的な体験が動機となった。15年来の付き合いがある、その友人はゲイで、彼と知り合ってからというもの、ずっと心地よい自分の居場所を探しているんだなと見ていて感じた。この映画を作ることを通して、友人のため、またLGBTQコミュニティーのためにも、何か出来たのではないかという気持ちで今、います」と語った。

製作には、セックスシーンなど身体的な接触があるシーンの所作を監修するインティマシー・コレオグラファーが参加した、質疑応答の中で「同意しないのに無理やりな演出の経験や、経験談を聞いたことがあるか?」と質問が出た。宮沢は「インティマシー・コレオグラファーが現場につく経験は、この作品に出演するまでは経験がなかった。それが当たり前だと思っていた。こういう経験を経てからは、このようにサポートしてくれるスタッフがいない現場は、想像できない。こういったこと(インティマシー・コレオグラファーの撮影への参加)が起きているのは、日本映画と、日本の映画産業にとって、大きな一歩」と語った。

その上で、インティマシー・コレオグラファーの関わりについて、より具体的に説明。「どんな演出、演技をするにしても同意は欠かせない。どういう表現をしたら良いか、分からないことがあり、現場で我々を見てくれて、サポートしてくれる存在がいるのは大きな安心だし、安心を得た分、臆せずに、こうだと思える芝居が自由に出来る」と語った。加えて「そういったシーンは、現場で何を期待されているか分からないまま、やる怖さがあった。サポート役がいることで、いろいろなお芝居をする、可能性をつぶさずに済むと思っている。いいこと」と評価した。