音楽家の坂本龍一(70)が、2003年(平15)から20年にわたってナビゲーターを務めてきたJ-WAVE(東京)の番組「RADIO SAKAMOTO」が、5日深夜0時からの放送で最終回を迎える。病気療養中の坂本に代わって、大貫妙子(69)が進行し、番組の最後を締めくくる。

最終回では、坂本がテキスト・コメントで出演する。さらに、イエロー・マジック・オーケストラでともに活動してきた中、1月11日に脳腫瘍により併発した誤嚥(ごえん)性肺炎で70歳で亡くなった盟友・高橋幸宏さんの楽曲5選も紹介する。

隔月で放送してきた「RADIO SAKAMOTO」は、坂本龍一が最新の活動について紹介するほか、その時々、考えること、出会った人などについて語ってきた。その内容は、多岐にわたる活動の貴重なアーカイブにもなってきた。21年3月からは療養中の坂本龍一に代わり、坂本にゆかりの深いアーティストたちが番組をナビゲートしてきた。最終回では蓮沼執太、U-Zhaan、長嶋りかこ、コトリンゴが、オーディションの優秀作品を発表する。

坂本は14年に患った中咽頭がんは寛解も、21年1月には直腸がんの治療を公表。22年6月発売の文芸誌「新潮」7月号では、がんがステージ4で、直腸の原発巣と数カ所の転移巣を摘出する20時間に及ぶ外科手術を受けたこと、21年10、12月には両肺に転移した、がんの摘出手術など1年間に大小6つの手術を受けたことを明かしていた。

22年12月11日正午(日本時間)には「この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と、同9月中旬に無観客で事前収録したピアノ・ソロ・コンサート「Ryuichi Sakamoto:Playing the Piano 2022」を、世界約30の国と地域に配信した。

坂本は、是枝裕和監督(60)の邦画3作ぶりとなる新作「怪物」(6月2日公開)の音楽も担当。「今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった」ため全曲の制作が出来ず、書き下ろしはピアノ曲2曲にとどまった。そのため、71歳の誕生日を迎えた1月17日にリリースした、約6年ぶりのオリジナルアルバム「12(トゥエルブ)」の収録曲や過去の楽曲も使い、映画全体の音楽を構成する。

番組の松尾健司プロデューサーは「20年間続けてきたRADIO SAKAMOTOは、いったん終了しますが、教授が復活した際には、再開したいと考えています。またJ-WAVEとしてさまざまな坂本龍一企画を考えていきたい」とコメントした。