ロックバンド、DEENが12日、日本武道館でデビュー30周年記念ライブを開催した。ステージでは節目を迎えた喜びをファンと共有しながら、球界と縁の深いボーカル池森秀一(53)とキーボード山根公路(56)は、WBCで準々決勝進出を決めた侍ジャパンのさらなる活躍に期待した。

93年3月、「このまま君だけを奪い去りたい」でデビュー。楽曲はミリオンヒットを記録し、鮮烈な印象を残した。現在は年に1度のペースでアルバム発売、ライブ開催と長く活動を続け、池森は「気付いたら30年。1年1年の積み重ねが今日なのかな」と話す。25周年ライブ以来、5年ぶりの武道館の地については「野球で言えば甲子園。光栄です」と笑みを浮かべる。

DEENは06年、当時のボビー・バレンタイン監督に依頼されてロッテの応援歌を制作。19年には池森個人でも楽天に応援歌を提供した。開催中のWBCも注視しており、大谷翔平ら日本代表の活躍ぶりに「強すぎでしょう!」と舌を巻くと、「このまま行けば、世界一も“奪っちゃう”でしょう」とデビュー曲に絡めて優勝を期待した。

ライブでは「翼を広げて」「ひとりじゃない」など全33曲を披露。約8000人のファンに「夢の時間を楽しんで」と呼びかけた。30年前と変わらぬ歌声を響かせ、池森は「多分、今の方がいいですね」と声の進化に自信。山根は「音楽でつながっているユニット。お互い尊敬し合ってやってこれた」と歩みを振り返り、池森も「今まで通り続けていれば、35周年、40周年も見えてくる」と語った。【遠藤尚子】

○…自身のそば店を出店するなど、そば通で知られる池森は「そばは音楽と同じくらい一生懸命やってます。二刀流です」と、球界の“二刀流”大谷を引き合いに笑顔。最近はそば関連でのメディア出演も多く「そばの人、歌ってたんだ」と知る新規ファンも増えたという。オリジナルメニュー「革命そば」は黒コショウが味の決め手だが、「粘り強くやる」との意味が込められたヌートバー外野手のペッパーミル・パフォーマンスの由来には「今初めて知りました。何なんだろうと思ってました」と笑った。