「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のキー・ホイ・クァン(51)が、助演男優賞で初のオスカーを獲得し、涙した。クァンは劇中で夫婦を演じ、主演女優賞にノミネートされたミシェル・ヨー(60)と抱き合うと、オスカー像に何度もキスした。「ありがとうございます。母は84歳で家から見てくれています。お母さん、オスカー、取ったよ!!」と叫んだ。

1985年(昭60)の米映画「グーニーズ」で発明少年データを演じるなどして人気だったが、俳優を休業。武術指導など製作側に回ったが、原点回帰を期しオーディションを受け「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」で、20年ぶりに表舞台に帰ってきた。前哨戦のハリウッド外国人記者協会主催のゴールデングローブ賞、全米俳優組合主催のSAG賞ともに助演男優賞を受賞し、受賞最有力と目されていた。

クァンは中国人の両親のもと、ベトナムに生まれ、難民として米国に渡った。その人生を振り返り「私の旅路はボート…難民キャンプで始まり、今はハリウッド最大の舞台にいる。こういうことは映画じゃない、人生に起こる。これこそが、アメリカンドリーム」と胸を張った。

「グーニーズで」チャンクを演じたジェフ・コーエンは、ハリウッドで弁護士をしており、クァンが「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に出演が決まり、契約を結ぶ際も弁護士として立ち会ったという。クァンは「『グーニーズ』のコーエン、ありがとう」と感謝した。さらに、中国語翻訳者の妻エコーに「何年も何年も…20年『いつか、あなたの時が来る』と言い続けてくれた。夢は信じないと、かなわない…何度も諦めかけた。夢は諦めないで」と訴えた。

また助演女優賞は、同じ「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のジェイミー・リー・カーティス(64)が受賞した。