今月9日に89歳で死去した元参院議長の扇千景(おおぎ・ちかげ)さん(本名・林寛子=はやし・ひろこ)の葬儀・告別式が27日、東京都港区の増上寺光摂殿でしめやかに営まれた。

弔辞を読んだのは、第1次小泉内閣で扇さんを国交相として起用した、小泉純一郎元首相(81)。

小泉氏は「どのような場面でも笑顔の扇先生を尊敬していた。深い悲しみに包まれたまま、先生が亡くなられたことを受け入れることができないまま、祭壇の前に立っています」と語りかけ「まさに、立法府、行政府の双方で改革を進めていた扇先生こそ、信念と改革の気持ちを背に、未来に向かって走り抜いた人だったと思います」と話し、生前の業績をたたえた。

小泉氏は、扇さんの業績を振り返る中で、「女性初」の職務をたびたびこなし、参院議長も務めたことに言及。「初当選した当時、内閣委員会に女性で初めて所属したと聞いていた。それから27年後、さまざまな実績を重ねられ、女性として初めて参院議長に就任された」「議長としては参院改革に熱心に取り組まれ、決算審査の充実のための会計検査院法の改正など、決算を重視する現在の参院の礎を築かれました」と、語った。

また「見えない社会の天井を打ち破ってきた扇先生を越えようと、多くの女性が自らの思いを実現するため、自らの歩みを進めている」と、女性活躍の先駆けでもあった扇さんの歩みを振り返り、「女性が活躍する社会を目指し、その先頭に立って切り開いてきた道に、続々と後輩たちが続いている。政治家として全身全霊で走り抜けてこられた先生に、あらためて敬意と感謝を申し上げます。本当にありがとうございました」と語りかけた。

小泉氏は「先生のりんとしたたたずまい、けして忘れることはありません。どうかこれからは愛するご家族のもとで安らかにお休みください」と話し、約9分間の弔辞を締めくくった。