英国のヘンリー王子(38)が、英タブロイド紙デイリー・メールの発行元であるアソシエイテッド・ニュースペーパーズをプライバシー侵害で訴えている裁判で28日、マスコミに対して「決して文句を言わず、説明もしない」という王室の方針を批判したと米ピープル誌が報じた。

ヘンリー王子は、英歌手エルトン・ジョンら複数の著名人と共に取材と称して盗聴などの違法な情報収集をしていたとしてアソシエイテッド・ニューズペーパーズを提訴しており、27日から裁判を行うかどうか決める予備審理が始まっている。米カリフォルニア州に2020年に移住した王子は緊急帰国し、2日連続で出廷している。

王子は王室を家族ではなく、「機関」と呼び、母であるダイアナ元妃が事故死したことにも言及。「私が12歳だった1997年に母が亡くなって以来、マスコミと常に不安定な関係にあった。しかし、機関のメンバーとしてのポリシーは、”文句を言わない。決して説明はしない”というもので、他に代替手段はなかった。私はそれを受け入れるよう条件付けされた。ほとんどの場合、私は公的な役割を果たす上で受け入れた」と述べ、王室のマスコミ対応を批判したという。

また、王子が2019年に英サン紙を出版するニュースグループ・ニュースペーパーズを提訴したことについても言及。「機関は長い間、私の携帯電話がハッキングされたことを隠していたことは疑いようがない」と話し、ニュースグループ・ニュースペーパーズが盗聴していたという事実を王室は故意に自身に知られないよう隠し、もみ消したと主張した。

デイリー・メール紙が探偵を雇って自身の電話を盗聴したり、車などに盗聴器を設置するなどしたと主張している王子は、「私が見た証拠はアソシエイテッドのジャーナリストたちは、ジャーナリズムの力を持った犯罪者だということ。国民はこの隠蔽(いんぺい)の全容を知るに値し、それを露呈させることが私の義務だと感じている」と述べたという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)