NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」(月~金曜午前8時)が3月31日放送分で、フィナーレを迎えました。

福原遥演じたヒロイン・岩倉舞が物語の途中からパイロットの夢から遠ざかったこともあり、ネット上では「もう舞いあがらないの?」と心配する声もありましたが、すべてがつながった最終週に「舞がパイロット目指した経験が最終週でつながるなんて…」と感嘆の声が上がりました。制作統括を務めた熊野律時チーフ・プロデューサーに、いまの思いを聞きました。

2月中旬に撮影は終了しましたが、印象に残っていることがあるといいます。「撮影が終わった瞬間、福原さんが『もう半年、やりたい』。そう思っていただけるのは本当にありがたかった」。

舞の幼なじみ・梅津貴司役の赤楚衛二ら共演者も名残惜しい表情だったそうです。感慨もありましたが、熊野プロデューサーには充実感もありました。

「みんなで力を合わせて、舞いあがれ! の世界を作ることができた。充実した思いを持って撮り終えることができた」

最終回が近づくにつれ、ネット上では「終わるのか、寂しい」と「舞いあがれ! ロス」も広がりました。「メインの出演者も脇役も含めて、細かいところも見ていただいた。レギュラーメンバーだけではなく、いろんな人たちが愛されるキャラクターになったんだな。ありがたい」と感謝。

「舞い上がれ!」は、ものづくりの町・東大阪と、自然豊かな長崎・五島列島を舞台に、福原遥演じるヒロイン岩倉舞が、空にあこがれ、夢へ向かって進む様を描きました。

昨年10月に放送がスタートしたときは「舞がパイロットになる夢をかなえて家族を乗せる物語?」。そう思わせるシーンもありましたが、次々と進む道が変わり、“迷走”? そんな心配もありましたが、最後はすべてがつながりました。

熊野プロデューサーは「東大阪の町工場の方に取材させてもらい、協力をいただき、物語を作ってきた。東大阪の町工場の人たちを見ていて、元気になれる物語にしたいなという部分もあった」と打ち明けました。

ものづくりの町として知られる東大阪市。その町工場群には、何でもつくれるという自負があり、「歯ブラシから人工衛星まで!」のキャッチフレーズは有名です。

バブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ禍で町工場は、何度も正念場に立たされてきました。

「コロナ禍のたいへんな時期でも、みなさんは一生懸命だった。新しいことにチャレンジし、人と人が協力することで、乗り越えてこられた。すごくエネルギッシュで前に向かっていく方たちにたくさんお会いすることができた。そういう方たちから物語を作っていった」

舞は遠回りしたけど、最後に空を飛ぶという夢をかなえました。

「視聴者のみなさんには、たいへんでも、いろんな遠回りしても、うまくいかないことがあったりするけど、地道に1歩1歩、頑張っていけば、明るい未来は開けていくんだとことを毎朝の放送で感じていただければと思っていました」

祥子ばんばの名言がよみがえってきます。

「舞もバラモン凧ごたに、どげん向かい風にも負けんでたくましく生きろ」-。【松浦隆司】