俳優加藤大悟(22)と俳優森下紫温(20)が27日、都内で、ダブル主演映画「タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。」(横井健司監督)の初日舞台あいさつに横井監督とともに出席した。加藤は崎義一(ギイ)役を、森下は葉山託生(タクミ)役を務めた。

映画初出演にして初主演となった加藤は満員の客席を見渡すと「自分の初めてがいっぱい詰まった作品。そんな初めての相手役が紫温ちゃんで良かったです」とあいさつ。同じく映画初出演にして初主演となった森下も「この日を待ちわびていました」と初々しい表情を見せた。

さらに加藤は、主題歌「0%(ゼロ)」も担当するという初ものずくめの作品。森下が「まるでギイが歌っているような感じ。大悟くんはめちゃくちゃ歌がうまいし、尊敬できるし、憧れです」と羨望(せんぼう)のまなざしを向けると、客席からも自然と歌声を求める雰囲気に。

加藤はミュージシャンとしても活動し、今年5月には2度目となるソロライブを行うなど、歌唱力には定評がある。「えー」と照れくさそうにしつつも、アカペラで主題歌を美しい歌声で熱唱すると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。

その後、撮影中のエピソードに話が進むと、美しいキスシーンの話題に。加藤は森下とのシーンを振り返ると「実は何度もしているんですよ」と明かすと「いろいろな角度から、2人で話し合ってアイデアを出しながらやりました。終わったあと見つめ合う空気感が大好きでした。紫温ちゃんが緊張しているのがとても愛くるしかった」とコメントした。

森下は「キスシーンの前の日に、大悟くんが家に誘ってくれて、台本の読み合わせをしたんです」と裏話を披露すると、「僕が初現場で演技も初で分からないことだらけだったのですが、大悟くんがお芝居に対する考え方やアプローチ方法などを話してくれて、その都度引っ張ってくれたおかげで、成長することができました」と感謝を述べていた。

大人気小説「タクミくんシリーズ」はシリーズ累計発行部数500万部を超える。1992年5月から2014年3月まで、小説「タクミくんシリーズ」として全28巻が刊行され、2016年3月から2017年2月にかけて「タクミくんシリーズ 完全版」としてこれまでの物語が時系列順に収録された全11巻におよぶファン必携の文庫新装版が刊行された。さらに2014年12月より大人になった託生やギイたちを描いた「崎義一の優雅なる生活」が現在5巻まで刊行。

名門の全寮制男子校に通うふたりの男子校生が、さまざまな事件を経て、ついに恋人同士になる学園ラブストーリーは、コミックス化や、カセット・CD化、舞台化されるまでに至り、一大ブームに。2007年には初めて「そして春風にささやいて」が実写映画化されて大きな話題を呼び、2009年に「虹色の硝子」、2010年に「美貌のディテイル」と「Pure~ピュア~」が立て続けに制作され、2011年にシリーズ完結となる「あの、晴れた青空」まで、全5作が劇場公開された。

そんな伝説のBL(ボーイズラブ)小説が発売されてから31周年を迎える今年、待望の劇場映画の新シリーズが始動。小説「タクミくんシリーズ」が新たに「タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。」というタイトルで実写映画化され、27日から劇場公開された。