昨年、芸道60周年を迎えた演歌歌手北島三郎(86)の「バーチャル北島三郎記念館」が5日、スタートした。

この日、新曲「つむじ風」と、東京・明治座で行われた「芸道60周年ファイナルコンサート」の模様を収録したDVDとブルーレイが発売。これに合わせて、バーチャルも始動した。

記念館は02年12月に開館した。函館近郊の知内町で生まれ育った北島の誕生から歌手としての苦難や成功を体感できる施設として、ファンの間で“聖地”として親しまれてきた。2階には学生服を着た高校時代の等身大サブちゃん人形が乗った通学列車や、渋谷で流し歌手をしていた下積み時代の再現コーナー、CDジャケット写真232枚の展示など、北島の足跡をたどるコーナーを設置。3階には巨大な宝船に乗った北島が大ヒット曲「まつり」を熱唱するライブシーンの再現コーナーがあり、多くのファンを魅了してきた。その感動が最先端の3Dカメラ撮影を用いて360度の視点で楽しめる。

しかし、記念館は建物の老朽化による修繕などのために閉館することに。ファンからは再開を求める声が寄せられたことから、バーチャルミュージアムとして始動することになった。最先端の3Dカメラマスターポートを用いて撮影。アプリなどは必要なく、PCやスマホ、タブレットなどの通信環境があれば、いつでも、どこでも360度視点で、自由に鑑賞することができる。もちろん無料。芸能人による常設のバーチャルミュージアムとしては、海外に「ジミ・ヘンドリックス ロンドンの屋根裏部屋」があるが、国内では北島が初めて。

さらに、バーチャルならではの展開もある。実際の記念館では、北島の愛馬キタサンブラックのコーナーは数枚の写真展示に過ぎないが、バーチャルでは大きく展開している。同馬は20年に、史上34頭目の顕彰馬に選定されたが、コロナ禍ということもあり、JRAはVRでの展示を行った。今回はそのVRを引き取ることにより、競馬ファンも楽しめる内容になっている。

北島は「函館に記念館ができたのは今から約20年前。長年にわたり大勢の皆さんにご来場いただきました。皆さまからの熱い要望にお応え、なんと記念館をバーチャル空間に再現することになりました。こうして新しい形で、また多くの皆さんに出会えること、北島三郎の歩いてきた道を見ていただき、たくさんの楽曲を聴いていただき、デビュー以来変わらぬ歌への思い、皆さまへの感謝の気持ちを感じていただければ幸いでございます。歌の歴史だけではなく、愛馬のキタサンブラックのコーナーもあります」と話している。