ワハハ本舗の2年ぶりの全体公演「シン・ワハハ~NEW WAHAHA~」が6月22~25日の東京・なかのZERO大ホールから、全国11カ所で17公演行われる。新型コロナウイルスが2類から5類感染症になった中、コロナ禍で得意技「鼻からの豆飛ばし」を封じられていた、梅ちゃんこと梅垣義明(63)に聞いてみた。【小谷野俊哉】

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「一昨年は全体公演が延期になって、お客さんも一席おきで声を出せないとかね。今考えれば、声を出してもいいじゃないと思うんですけど、世の中の雰囲気はそうだった。客席にも降りちゃいけない。いつものワハハだったら、客席に降りて2階席、3階席に行ってたんですよ。今回、会場ごとにどこまでできるかというのは別にして、この2、3年は制約の中で公演をやったというのがある。それはそれで、また面白かったというのもあるんですよね。制約がある中で、下ネタとかお客さんとの濃厚接触ができない中でネタを考えていく。人間って、やっぱり制約があると、その中で考えていく。できるものをいろいろと考えていってるなというのがあるんですよね。今回のツアーも劇場、会場によってガイドラインが違う。客席に降りていいのか、いけないのか。やっぱり、お客さんが戻ってくるのには時間がかかると思うんですよね。僕らはやれることはうれしいし、エンターテインメントの力とか言ってたけど、逆に感じたのはお客さんの力なんですよね。ライブってお客さんからエネルギーをもらう。僕らが楽しんでほしい、お客さんはもっとやれよと。そういうエネルギーの交換だと思ってたから。コロナ禍で『エンターテインメントの力』というのは、ちょっと耳触りのいい言葉だったけど、僕らからするとそれはお客さんの力。僕はそう思ったんですよね」

コロナ禍では十八番のグリーン豆飛ばしが出来なかった。鼻の穴に詰め込んで噴射する。飛沫(ひまつ)感染厳戒態勢の中ではNGだった。

「これは困ったなぁとなりました。今までやったいろいろなネタがありますけど、グリーン豆が一番分かりやすいから取り上げてくれる。他にもあるから大丈夫だと思ってたけど、お客さんはそれを望んでる部分があってね。コロナ禍でやって来たのは、客席に飛ばさないで、後ろのピアニストとかバイオリニストに飛ばしたりね。あとは芝居仕立てにして『昔は飛ばしたけど今は飛ばなくなった』と豆を落としてみたり。老人のゲイボーイの一人芝居をして、お客さんに飛ばすふりをして舞台上のピアニスト、バイオリニストに飛ばすみたいな。あとはLEDの光る豆を入れて、それが飛んでいくみたいな。舞台に制約があったから、いろいろ考えた。お客さんも盛り上がるしね。やらなくてもいいとも思ったんだけど、お客さんが望んでますからね。逆に言うと、今までこれさえあれば皆さん喜んでくれるわけじゃないですか。皆さんそれを一番期待しているから、そういう意味では慣例になっちゃってて、今まで工夫がなかったんですよ。僕も60歳をすぎて考えた。本当にどうするんだろうかと。最初はみんな一緒かなと思ってたんです。でも、若かったら違う。今までやってきたことは、別に過激なことをやろうと思ってじゃなくて、お客さんに喜んでもらえることをやろうと思ってた。そして、それまでやらせてくれた劇場さんや、あんなことを許してくれた関係者とかいっぱいあるんですよ。コロナをきっかけにできなくなったことが、逆にいい意味でひとつのきっかけだとポジティブに取らないとダメじゃないですか。そして、今までやらせてくれた人に対して感謝みたいな気持ちも。そして、そういう中でも来てくるお客さんというのは本当にありがたみを感じますね」

(続く)

◆梅垣義明(うめがき・よしあき)1959年(昭34)7月12日、岡山県生まれ。84年10月ワハハ本舗に参加。96年(平8)NHK大河「秀吉」、96~03年テレビ朝日系「はみだし刑事情熱系」シリーズに出演。16年舞台「毛皮のマリー」。178センチ、70キロ。血液型O