13日に不整脈のため83歳で亡くなった歌舞伎俳優市川猿翁(いちかわ・えんおう)さん(本名喜熨斗政彦=きのし・まさひこ)の通夜が18日、都内で執り行われた。
長男市川中車(香川照之=57)孫市川團子は京都南座で「九月花形歌舞伎『新・水滸伝』」に出演中だが、この日は午前の部のみのため、午後2時過ぎに公演を終えると帰京した。
中車は夕方、猿翁さんへの思いをX(旧ツイッター)につづった。訃報が発表された15日に松竹を通じてコメントを発表したが、あらためて猿翁さんをしのんだ。
中車は「父、市川猿翁が天命を全う致しました。信ずれば叶う、天翔ける心--猛優として『夢』にまい進した歌舞伎俳優人生でした」と、猿翁さんが大事にしていたせりふなどを引用した。さらに「2004年、病に倒れてからの20年近い年月は、父にとって長く厳しく辛いものだったに違いありません。しかし多くの人々に愛され、自らしか成し得ない歌舞伎道を最後まで全うしたことは、私にはかけがえのない誇りです。寂しいけれど、これまで通り前に進んでいきます」と、決意もつづった。
通夜には市川猿弥ら一門の弟子たちが参列、ある弟子は「感謝しかないです」と話した。猿翁さんの元で長く研さんを積んだ市川右團次は、都内斎場で猿翁さんと対面した。
葬儀、告別式は親族葬で執り行い、後日、お別れの会を開催する。