俳優として活躍し、「助けてチョーダイ」「キビシーッ」などの名セリフで一世を風靡(ふうび)した財津一郎さんが、亡くなっていたことが19日までに分かった。89歳だった。関係者によると18日に通夜、19日に葬儀・告別式が執り行われたという。

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「てなもんや三度笠」の放送が小学校低学年の頃だったので、キビシ~ッ!とチョーダイ!は子守歌のように焼きついている。タケモトピアノのCMは8月末まで放送されたから、このギャグは61年間「現役」を続けていたことになる。

浪人役の財津さんが刀の刃をヘビのようになめ回す姿も強烈だったが、08年の映画「ザ・マジックアワー」には佐藤浩市がナイフをなめる印象的なシーンがあり、シュールな芸の「継承」が感慨深かった。

拭いがたい個性があったから、どんな役を演じても「財津一郎」がにじみ出る傾向があった。役の作り込みを人一倍求めた伊丹十三監督のデビュー作「お葬式」(84年)でも、変身ぶりを競う出演者の中で、独り「財津一郎」を通した。

一方で、81年に出演した映画「連合艦隊」は、「脱財津」の演技が光った作品で、特攻隊員の父親の思いがずしりと伝わった。

取材で見せる素顔は常識人そのまま。近年のインタビューでは「運転免許返納」を淡々と明かした。実際に話を聞いてみると硬軟を演じ分ける「懐の深い演技巧者」の実感があった。

それでも、晩年までチョーダイ!のイメージをいやがらずに通した独特のプライドは、神武天皇の時代から続く名家の出ならではのものだったのだろうか。【相原斎】