テレビ朝日とTBSが、討論形式の番組に出演する政治家に、フリップ(説明用の図表などを示したボード)の持ち込みを自粛するよう求めたことが30日、分かった。「データが一方的」などの批判があり、「公正を期すため」としている。テレビ朝日は衆院選投票日の8月30日までの間、すべての報道番組で、TBSは一部の番組でそれぞれ自粛を求めている。

 テレビ朝日が19日に放映した「サンデープロジェクト」で細田博之自民党幹事長がフリップを使いながら、民主党が目玉政策に掲げる子ども手当について批判。その後、フリップに事実誤認があったとして、民主党の平野博文役員室長が細田氏に抗議した。

 同局は「選挙期間中、公平公正を期すための判断だ。以前から社内で議論しており、抗議とは関係ない」と説明する。

 TBSは毎週土曜日に放送中の「みのもんたのサタデーずばッと」で、自民、民主など6党の代表が顔をそろえた25日放送分から自粛を求めた。期間は決まっておらず、ほかの番組の対応については未定としている。

 TBSは「これまでも事前に相談があったら、遠慮してもらっていたが、生放送でいきなり使用されたこともあった」と内情を明かす。

 民主党の広報担当者は与党側のフリップ使用について「一方的で意図的なデータが出される。事前に内容のチェックもできない」と指摘する。一方、自民党からは「これから民主党の財源問題を追及するにはフリップが不可欠だったのに」(党関係者)との不満も漏れている。

 ほかのキー局は「特にそのような動きはない」(日本テレビ)、「自粛の申し入れはしていない」(フジテレビ)と、追随する動きは今のところないようだ。

 [2009年7月30日8時29分]ソーシャルブックマーク