映画「飢餓海峡」や「釣りバカ日誌」シリーズなど、個性派俳優として活躍した三国連太郎(みくに・れんたろう、本名佐藤政雄=さとう・まさお)さんが14日午前9時18分、急性心不全のため東京都稲城市の病院で死去した。90歳。群馬県出身。葬儀・告別式は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く。喪主は長男で俳優の佐藤浩市(さとう・こういち)。

 1951年に木下恵介監督「善魔」の主役に抜てきされてデビュー。迫力ある風貌で一気にスターになった。このときの役名がそのまま芸名になった。

 その後も演技派として活躍、水上勉さん原作、内田吐夢監督の「飢餓海峡」(65年)では次々に人を殺しながら逃げ延びる強盗殺人犯を演じて、名優の評価を確立。南の島で原始的生活を送る一族の主人に扮(ふん)した今村昌平監督の「神々の深き欲望」(68年)も高く評価された。

 88年からの「釣りバカ日誌」シリーズでは、会社経営者の「スーさん」役で親しまれ、ユーモアたっぷりの演技で新境地を見せた。

 ほかに「ビルマの竪琴」「にっぽん泥棒物語」「戒厳令」「人間の約束」「利休」「息子」など多くの出演作と、数々の受賞歴がある。84年紫綬褒章、93年勲四等旭日小綬章。最近では2011年、モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した「わが母の記」に主人公の父親役で出演した。

 自らメガホンをとった「親鸞・白い道」で87年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど、監督としても才能を発揮した。

 妻の友子さんによると、三国さんは亡くなる前日の13日夜まで食事も十分にとり、元気だった。その後、深夜から朝方にかけ2度嘔吐(おうと)し、体温と血圧が低下。友子さんが病院まで駆けつけた直後に息を引き取った。亡くなる2日前、ふいに「港に行かなくちゃ。船が出てしまう」と口走っていたという。