NHK連続テレビ小説「ふたりっ子」の舞台になった通天閣歌謡劇場(スタジオ210=大阪市浪速区)で、89年から行われてきた歌謡ショーは、近くの店舗5階を劇場に改装し、存続することが28日、決まった。この日、6月末で閉館が決まっている同劇場で最後の歌謡ショーが行われ、トリを務めた通天閣の歌姫こと叶麗子(50)は「みんなで頑張ったら、奇跡は起きるんです」と号泣した。

 同劇場は通天閣階下の囲碁将棋センターを改装し、89年にオープン。松竹芸能が歌謡ショーを手掛けていたが、08年からは平日に歌謡ショー、週末に寄席として運営。同社の寄席が7月28日から道頓堀の新劇場「角座」に移ることと、施設の老朽化により、今月30日の寄席興行を最後に閉館が決まっていた。

 しかし、叶らはショーの存続を願い署名活動を続け、当初目標の倍になる2万人近くの署名が集まり、これを受けた地元の「新世界串かつ振興会」が、前日27日夜に最終協議。劇場から徒歩数分の「横綱

 通天閣店」5階に使用していない宴会場があることから、ここを改装し、客席150席前後の新劇場を開き、早ければ今年10月にもオープンさせることを決めた。

 叶は「ここの街は日本一あったかい。きっと、タイガーマスクの伊達直人さんみたいな人が現れると思っていた。人生も同じ。あきらめたらあかんのです」と、涙ながらに感謝の頭を下げた。

 新劇場の支配人には、かつて、歌謡ショーの前身だった同じ通天閣界わいの劇場、新花月の取締役だった坂本三郎さん(故人)を父に持つ、イベントプロデューサーの坂本敏生(としお)さん(58)が就く。

 坂本さんは、叶とともにこの日の最後のステージを終え、会見。「昨日やっと話がまとまったばかりだが、7月中には新劇場のメドを立てたい」と話した。

 また、通天閣歌謡劇場は、劇場を所有する通天閣観光が、7月から9月上旬までお化け屋敷として利用し、その後は改修工事に入る。工事終了後は、観光客向けの待合室や、資料室に使う案もあるが、正式には決まっておらず、今後、複数の会合をもって最終的な活用法を決める。