「恋人までの距離(ディスタンス)」から始まるビフォア・シリーズで知られるリチャード・リンクレイター監督最新作『6才のボクが、大人になるまで。(原題:BOYHOOD)』が、11月より日本公開となることが決定した。

 第64回ベルリン国際映画祭でリンクレイター監督に2度目の監督賞(銀熊賞)をもたらした本作は、6歳の少年メイソンとその家族の変遷の物語を、同じ主要キャストで12年に渡り撮り続けた画期的なドラマだ。これまでどんな映画作家も試みたことのない斬新な製作スタイルと、歳月の力を借りながら少年の成長の過程を画面に焼き付けていく、みずみずしい作風が高い評価を受け、米映画評集計サイト「Rotten

 Tomatoes」で、実写映画では今世紀初となる驚異の高評価100%を獲得。「21世紀に公開された作品の中でも並外れた傑作の1本」(NYタイムズ)と評される、映画史に残るマスターピースとなった。

 メイソンの成長を優しいまなざしで見守るリンクレイターは、家庭や学校のさりげない日常のひとこまを切り取ることで、少年の内面に渦巻く葛藤や悲しみを繊細に描写。さらに、その描写を12年分積み重ねていくことにより、パーソナリティが形成されていく過程を、誰もが見入ってしまうドラマチックな物語に仕立てている。また、劇中にはイラク戦争やオバマ大統領の誕生といったアメリカ史を彩る出来事も盛り込まれているが、主に時代を表すのは、メイソンがいじるゲーム機やハリー・ポッター・シリーズの巻数。サブカルチャーに託して時の流れを物語る演出によって、日常に根差して人生を語ろうとするリンクレイターらしいこだわりが窺える仕上がりとなっている。

 あどけない少年から凛々しい青年へと成長していくメイソンを演じたのは、12年前にリンクレイターがオーディションで見出した逸材、エラー・コルトレーン。さらに、メイソンの母親役のパトリシア・アークエット、父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーターも、12年に渡りそれぞれの役の変化と成長を演じきった。とりわけ強い印象を残すのがアークエットで、子育てと重労働に疲れ果てたシングルマザーが、大学で教鞭をとる自立した女性へと生まれ変わっていく様を熱演した彼女は、本作が作品賞と監督賞を受賞したシアトル国際映画祭において主演女優賞に輝いている。【ハリウッドニュース編集部】