今年1月に亡くなったタレントやしきたかじんさん(享年64)の闘病生活を描いた百田尚樹氏のノンフィクション作品でプライバシーを侵害されたとして、やしきさんの長女(41)が、発行元の幻冬舎に出版差し止めなどを求める訴えを21日、東京地裁に起こした。長女はやしきさんと最初の妻との間に生まれた。

 訴状によると、百田さんはやしきさんと昨年10月に再婚した妻との闘病生活をまとめた「殉愛」を今月5日に出版した。長女側は「再婚した妻側の話を無批判に受け入れた内容で、親族らに取材していない」と主張。長女がやしきさんに金を無心するなど、確執があったように書かれているとして「事実に反した内容で父親への思いや名誉を傷つけられた」と訴えている。

 幻冬舎は「担当者がおらずコメントできない」としている。

 同書については、出版後からネット上で批判が相次ぎ、百田氏は11日午後3時過ぎに自身のツイッターを更新し、「未亡人に対する誹謗(ひぼう)中傷がひどすぎる!

 実態も真実も何も知らない第三者が、何の根拠もなく、匿名で人を傷つける。本当に人間のクズみたいな人間だと思う!」などと激怒した。

 さらに「未亡人に対するいわれなき中傷レビューを、真実を何も知らない第三者が面白がって『参考になる』ボタンを押しているのが、本当に腹が立つ」と怒りのツイートを重ね、「非難されるところなど何もない未亡人を攻撃して、何が楽しいのか。恥を知れ!」と強く批判した。

 百田氏は9日に放送されたフジテレビ系「Mr.サンデー」で、同書を基にしたやしきさんさんの闘病生活再現VTRに対し、翌10日にツイッターで「VTRは実にひどい作りやった!」と怒りをあらわにし、「作り手に技術がないのはもちろんだが、何よりも愛がない!」と心情を吐露していた。