「もっと見たかった」「驚いた」。1日夜、引退が明らかになったアニメ映画監督の宮崎駿監督(72)はヒット作を次々と生み出す一方、憲法や原発など社会問題にも発言を続け、アニメ監督の枠にとどまらない存在感を示してきた。

 「風立ちぬ」を鑑賞したファンや作品に携わった人たちには、引退を惜しむ声が広がった。

 「風立ちぬ」公開中の東京・有楽町の映画館前。3回目の鑑賞という東京都板橋区の会社員大川明子さん(32)は「もっと宮崎作品を見たかった。ショック」と驚いた様子。「ほかの監督にはない躍動感に引きつけられた」と宮崎作品の魅力を振り返った。

 「紅の豚」など宮崎作品に登場する飛行機などのプラモデルを製作、販売する「ファインモールド」(愛知県豊橋市)の鈴木邦宏社長(55)も「初めて聞いた。驚きました」と言葉を詰まらせた。鈴木さんはことし2月、「風立ちぬ」の打ち合わせで監督と会った。「プラモの原型を手渡すと『文句なし。好きにやってください』との言葉をいただいた」。宮崎監督との作品づくりを懐かしんだ。