少年隊主演の夏の恒例舞台「PLAYZONE」が6日、東京・青山劇場で幕を開けた。86年の初演から毎年主演してきた3人は今年限りで同舞台を卒業する。アイドル王国のジャニーズ事務所が、本格的な歌と踊りを盛り込んだ舞台製作に取り組むきっかけにもなった、伝統の舞台は来年以降、後輩が引き継ぐことになった。

 40歳を超えた少年隊が、けじめをつける。ファンが「プレゾン」と親しみを込めて呼ぶ舞台が始まったころは20代前半。開幕前に心境を語った錦織一清(43)は「VTR資料を見ると、若いころの自分に嫉妬(しっと)します。当時は何者にも負けない妙なアドレナリンが出ていましたね」と振り返った。植草克秀(41)は「まだ終わる気持ちがない。徐々に出てくるのかな」と実感がわいてこない。それでも、東山紀之(41)は「始まりがあれば終わりがある。23年やってきましたが、後輩に渡して僕らは新しいものを構築していかないと」と、23年目の卒業に至るまでの背景を語った。

 「プレゾン」は、ジャニーズ事務所の試金石だった。東京では初演から演劇界の聖地の1つ、青山劇場で開催。毎年夏の恒例となった。本格的な歌と踊りを芝居に盛り込んだスタイルは、少年隊だけでなく、後輩たちがアイドルとして長く活動するためのステップアップの場所になった。かつてはTOKIO、V6らがバックダンサーとして出演。昨年は不祥事で人気グループNEWSを離れ、ジャニーズ事務所の研修生だった内博貴と草野博紀の芸能活動再開の場に選ばれた。

 座長公演に取り組む後輩も現れた。滝沢秀明主演「滝沢演舞場」(新橋演舞場)、堂本光一主演「SHOCK」(東京・帝国劇場)、今年は亀梨和也主演「ドリームボーイズ」(同)が始まった。各舞台とも演劇界最高峰の劇場で、切符が入手困難になるほどの動員力を誇る。人気だけでなく「SHOCK」は今年の菊田一夫演劇大賞を受賞。アイドルの枠を超えた、質の高さの原点が「プレゾン」にある。

 今年の公演タイトルは「Change」。集大成とともに、歴史を後輩へ引き継ぐ意味合いも込め、錦織からジャニーズJr.へバトンリレーする演出も織り込まれた。来年以降は彼らを中心に、錦織が演出、構成を担当する。錦織は「自分たちの若いころに比べて数段うまい。歌、お芝居とも遠回りしてきた部分もあるので、最短距離でうまくなれるように教えてあげたい」と話した。千秋楽は東京が8月8日で、大阪は梅田芸術劇場の同31日。