【上海29日=松本久】演歌歌手川中美幸(52)が当地で、中国・四川大地震の復興支援チャリティー公演を行った。44万人を超える死傷者と、500万人以上の被災者が今も余震におびえる現状に「少しでもお役に立ちたい」。上海市と大阪府、大阪市が友好都市であることから、大阪出身コンビの作詞家もず唱平氏(69)が支援を呼びかけ、川中が応えた。

 会場には現地在住の日本人ら約800人が駆けつけた。「復興への道のりは、これから何十年もかかるし、心のケアも大変。こういう時こそ歌の力で勇気と希望を伝えたい」。この日のために覚えた流ちょうな中国語で自己紹介した後で、ミリオンヒットの「ふたり酒」「二輪草」など12曲を心を込めて熱唱。愛用の着物5点、サイン色紙とCDをオークションに出品し、集まった義援金の全額を現地の赤十字に寄付した。地元からも少年少女合唱団22人が参加。「日本と中国がこれからも、ともに上を向いて未来へ歩んでいきたい」と、「上を向いて歩こう」を歌い始めると、友好を象徴するような大合唱が会場全体に響き渡った。

 川中ともず氏は、18年前にも中国残留孤児の養父母支援公演で各地を回った。「そのときは12歳だったから、よく覚えていなくて…」。18年ぶりの上海公演でも、いつもの爆笑トークで会場を沸かせることは忘れず、約2時間の公演を終えた。