左腸骨に転移したがんのため療養中のロック歌手忌野清志郎(58)が20日、都内のブルーノート東京で、復活ののろしを上げる歌を熱唱した。92年にバンドを組んでいた旧友、米国のR&Bバンド、ブッカーT&THE

 MG’sのステージに、飛び入りで上がると、米国R&B歌手ウイルソン・ピケットの名曲「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」を歌った。7月14日のがん再発の告白以来、初めて公に姿を見せ、会場は拍手喝采だった。

 予定にない突然の熱唱だった。清志郎が客席でライブ鑑賞中に、親友のギタリスト、スティーブ・クロッパー(67)が「オレたちの長年のフレンドを呼びたい。ニッポンが生んだNO・1シンガー、キヨシロー!」と紹介。突然で「オレ聞いてないよ…」とつぶやきながらも清志郎は遠慮がちにステージに上がった。

 最初は、手持ちぶさたで戸惑いを隠せなかったが、同曲の演奏が始まると、マイクを握り歌った。「ブルーノート、ベイベー!」。次第に気持ちよくなってきたようで、歌い終えると「ゴキゲンだぜ、ベイベー!」と叫んで、観客を興奮させた。

 現在は週1回の通院治療を受け、温泉に行ったりゆっくり療養している。顔色も体格も4カ月前と変わらず、歌う姿はソウルマン清志郎の迫力そのままだった。「びっくりしたよ…。でも、家でもデモテープ作ったりしてるから」。音楽への情熱と、復活への手応えを、十二分に感じさせる一夜だった。