俳優松山ケンイチ(23)が、またもや個性的キャラクターを演じる。1月スタートの日本テレビ系連続ドラマ「銭ゲバ」(土曜午後9時)に主演することが2日、分かった。貧しく不幸な生い立ちから、金がすべてと悪の限りを尽くして生き抜く隻眼の青年を描く。家族向け番組の多い土曜ゴールデンタイムを、持ち味の怪演で席巻する。

 1年半ぶりの連ドラ主演に、問題作を選んだ。原作はジョージ秋山氏(65)の70年の同名漫画。秋山氏の漫画は70年代に過激な描写で、連載中の少年漫画誌が一部で有害図書にまで指定されたことがある。「銭ゲバ」は真実の愛を求めて、悪事による金でのし上がっていく物語で、松山は主人公の蒲郡風太郎を演じる。

 松山は「前作『セクシーボイスアンドロボ』でのロボ役と同じく、ダイヤモンドの輝きを放つキャラクターです。ただ、ロボは自分だけの答えという輝きを持っていましたが、風太郎は自分だけの輝きが分かっていない。今回はきっと明確な答えはありません。そんな答えのないところと、僕はしっかり向き合っていきたい」と早くも、難役を独特の解釈でとらえ始めているようだ。

 松山は、戦艦大和で苦しみもがく少年兵から、変質的な名探偵、純粋なアキバ系ロボットオタク、残酷なヘビーメタルロック歌手と、映画、ドラマで個性的な役柄を演じ続けてきた。その変身ぶりから「カメレオン俳優」ともいわれるが、今回も「彼は存在自体がファンタジー。動いたりしゃべったり、そこで生まれる空間は特殊なものになる」(河野英裕プロデューサー)と、期待されている。