日本テレビが「プロレスリング・ノア」(日曜深夜1時20分)の中継を来年3月末で打ち切ることが16日、分かった。開局翌年の1954年2月以来、「日本プロレス中継」「全日本プロレス中継」と、55年間も放送し続けたテレビ最古のコンテンツを、経費削減のために手放す。

 同局のCS放送「日テレG+(ジータス)」での放送は続ける方向で話が進められているが、半世紀以上続いた地上波からは姿を消すことになる。今年9月には、一足先に系列のよみうりテレビ(大阪)での放送は打ち切られていた。日本テレビ関係者は「視聴率低迷と、スポンサー獲得の難しさに加えて、制作費削減の対象となって、編成から終了が言い渡された。何とか継続させたいとの声もあるが、少数派で非常に難しい」と話した。

 同局は、9月中間連結決算で37年ぶりに赤字(約12億円)に転落。子会社のサッカーJリーグ東京Vの経営でもパートナーを探すなど、スポーツ面でのコストカットが容赦なく行われている。プロレス関係者も「歴史が途絶えることが悔しい」と悲しんだ。

 かつてのプロレス中継は、日本テレビだけではなく、テレビ放送の普及に最も貢献したコンテンツだった。テレビ放送開始(NHK)1年後の54年2月19日。日本テレビが「力道山・木村政彦対シャープ兄弟プロレス実況」を初めて放送すると、繁華街に置かれた街頭テレビは黒山の人だかりとなった。力道山を応援する市民は声をからし、テレビが各家庭に普及するきっかけとなった。

 日本テレビは、力道山以後も、72年からはジャイアント馬場の「全日本プロレス中継」、01年からは「ノア中継」と継承してきた。ただ、近年はゴールデン帯ではなく、プロレス人気の下降とともに深夜帯の放送になっていた。