覚せい剤取締法違反(所持)の容疑で逮捕されたタレント酒井法子容疑者(38)の毛髪鑑定の結果、覚せい剤の陽性反応が出たことが19日、分かった。逮捕直後の尿検査では反応がなかったが、これで覚せい剤の使用が裏付けられた形。同容疑者はこの日拘置期限を迎えたが、東京地裁は28日まで9日間の拘置延長を認める決定をした。警視庁では、夫の高相祐一容疑者(41)との供述の食い違いや、あいまいな逃走中の足取り、覚せい剤の入手ルートなどについてさらに詳しく追及していく。

 毛髪鑑定の結果は「クロ」だった。捜査関係者によると、酒井容疑者の毛髪数十本を採取して行われた鑑定で、覚せい剤の反応が出た。陽性反応はわずかだったが、警視庁組織犯罪対策5課では、同容疑者が覚せい剤を使っていたことを裏付けるものとして、使用容疑での起訴の可能性も含めて調べを進め、時期や回数などの特定を急いでいる。

 警視庁によると、今月8日の逮捕直後に行った尿検査では覚せい剤反応が出なかった。自宅マンションで押収された覚せい剤もごく微量だった。所持と使用を供述していたものの、捜査関係者の間で「起訴は難しいのでは」という声も上がっていたが、拘置期限が28日まで延長された。捜査関係者によると、同容疑者はこれまで、詳細な供述を拒み続けているという。同庁では、今回の鑑定結果を突破口に、今もなお不明な点を追及し、具体的な供述を得たいとしている。

 同容疑者には、いくつかの疑問が残されている。まず1つは「供述の食い違い」。同容疑者は覚せい剤使用を始めた時期について「昨年夏から」と供述。ところが覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕され、酒井容疑者に「使用を勧めた」と話している夫の高相容疑者は「数年前から」と供述している。さらに回数についても、酒井容疑者が当初「数回」と供述しているのに対して「それでは済まない」と供述。酒井容疑者は現在までに「10回ほど使った」と供述内容が変わってきたが、2人の供述には大きな隔たりがある。

 2つ目の疑問点は「空白の6日間」だ。同容疑者は調べに対し、任意同行を拒み現場を立ち去ってから出頭するまでの6日間の足取りについて「都内のホテルに泊まった」などと供述しているが、実際には知人の元弁護士が所有する神奈川・箱根の別荘や都内のマンションに滞在していたことが分かっている。足取りについては逮捕直後から「話したくない」と、逃走に関与していたとみられる元弁護士の兄弟らについても詳細を供述していない。

 またこの日、同容疑者が8日に出頭した際、所持していた携帯電話が自分のものではなく、長男のものだったことが判明した。自分の携帯には、覚せい剤や逃走に関連するデータが残されている可能性もあり、警視庁ではその所在を詳しく追及していく。

 さらに「覚せい剤の入手ルート」も不明。同容疑者は「夫からもらった」とだけ話し、高相容疑者も「外国人から買った」と供述している。今回の捜査では、酒井容疑者の都内の自宅マンションと千葉県内の別荘の2カ所で覚せい剤が押収されているが、覚せい剤の質が違うなどそれぞれ入手ルートが異なる場合も考えられる。同庁では28日まで、これら疑問点を詳しく追及していく方針だ。

 この日、所持で逮捕された高相容疑者は、使用でも追送検された。

 [2009年8月20日9時47分

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