小室哲哉(51)の作曲家活動復帰作となった7人組ユニットAAA(トリプル・エー)の新曲「逢いたい理由/Dream

 After

 Dream~夢から醒めた夢」が5日に発売され、完全復活を果たした。新曲は両A面で、小室サウンドの懐かしさと新時代を感じる2曲となっている。小室は、09年に執行猶予判決を受けた著作権譲渡をめぐる5億円の詐欺事件を真摯(しんし)に反省しつつ、ハングリー精神を持って再び夢を追う意欲を前向きに語った。

 小室が作曲した新曲は、妻のKEIKO(globe)のソロアルバム「O-CRAZY

 LUV」(08年4月)以来約2年ぶり。「逢いたい~」は小室サウンドの懐かしさ感じるバラードで、「Dream~」は疾走感ある斬新なダンスポップに仕上がっている。

 小室

 今までやってきたことを否定するのではなく、作曲家小室哲哉を肯定しようと思った。「らしさ」といえばきれいですが「もろそれっぽい」の言われ方でもいい。TMネットワーク時代からの引き出しを1つずつ空けて、初期から全部聴いた。「この曲、誰?」っていうのは嫌で、自分で自分をコピーするというか、ひもといた。自分が自分に影響されました。

 95年のTRF、96、97年の安室奈美恵、98年のglobeと4年連続で日本レコード大賞を獲得。しかし、音楽の流れは変わり低迷、詐欺事件での空白もあった。不安、焦り…。

 小室

 僕の世代は3世代目に入っている。第1世代がTMで、第2がプロデュース時代。その世代のお父さん、お母さんが聞いてくれたことは、どこかで子供たちに影響すると思うんです。僕の使命は最大級3世代をくし刺しにできる音楽を追究することと思います。

 詐欺事件で09年5月、執行猶予判決を受けた。かつて高額納税者番付で全国4位に上り詰めたが、今はゼロからの日々である。

 小室

 食器を洗ったり、掃除機をかけたりと、細かい家のことをやっている時に「なんで今までしていなかったのだろう」と思います。前は普通の学生で1人暮らししてたし、TM時代は1人15万円、3人で40万円の時もあった。忘れていたことをフラッシュバックのように思い出します。結局、自分の認識不足。細胞分裂の、最初の1つ目は自分だけど、2つ、3つ…と増えていくときには、最初の認識が重要になってくるんですね。

 「Dream~」には、

 <歌詞>

 夢は過去になった

 その過去をまたぎまた

 光を求め夢の元へ…届け

 がある。

 小室

 (作詞の)Kato(Kenn)君と深く話し合いをしてできた。AAAの曲を通して、僕の生き様も投影してくれていると思う。反省すべき部分を若い世代に出していると。いい意味で、この年になって、ハングリー精神を持てて幸せです。前のままなら、平凡な余生を送れたらという気持ちになっていたかもしれません。

 [2010年5月7日9時26分

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