歌舞伎俳優坂東玉三郎(60)が6月の上海万博で上演される中国・昆劇「牡丹亭」に主演し、10月に東京・赤坂ACTシアターで凱旋(がいせん)公演(6~28日)を行うことが18日、分かった。

 「牡丹亭」は600年以上の歴史を持つ中国の伝統芸能「昆劇」の名作。作品に魅せられた玉三郎は05年から蘇州を訪れて昆劇のレッスンを受け、08年に蘇州昆劇院との日中合同公演「牡丹亭」を京都・南座、北京で上演した。主人公杜麗娘役の玉三郎は中国語の中でも難しいとされる蘇州語のせりふと歌を見事にこなし、演技も高い評価を受けた。09年は蘇州と上海でも上演され、中国演劇界から「万博期間中に再演を」と要望があり、中国政府文化部の後押しもあって「上海万博正式招待公演」として実現した。

 万博の「日本週間」に合わせ、上海蘭心劇場で「万博祝賀中日演劇名優公演」として開催。6月10日は玉三郎と蘇州昆劇院の「牡丹亭」、11日は玉三郎と蘇州昆劇院に加え上海昆劇団との合同公演の「牡丹亭」、13日は玉三郎による歌舞伎「楊貴妃」、人間国宝関根祥人による能楽「楊貴妃」、伝説の人梅蘭芳を父に持つ名優梅葆玖による京劇「貴妃酔酒」の競演となる。

 玉三郎は当初は3場のみの出演だったが、09年の上海公演では7場すべてで演じ魅了した。今回のチケットは最高で1280元(約1万7280円)と上海の平均月収(約4万6000円)からすると高額だが、中国でも大スターとなった玉三郎の前評判の高さから人気公演となりそうだ。

 [2010年5月19日8時9分

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