食道がんの治療のため今年1月から音楽活動を休止していた指揮者の小沢征爾さん(74)が1日、長野・奥志賀高原ホテルで、92年から力を注いでいる「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」(10日~9月9日、長野・松本)の公開リハーサルと復帰会見を行った。

 手術で体重が15キロ減ったが、小沢さんは復帰の喜びで元気いっぱい。「これから第2の人生が始まる!

 この日(指揮する日)を楽しみにしていた」と前向きに話した。また、7月28日、同じ食道がんであることを公表したサザンオールスターズ桑田佳祐(54)には「ニュースを聞いて驚いた。医学の発達もあるし、まだ(自分より)20歳も若いんだから大丈夫。音楽が助けてくれるよ」とエールを送った。

 小沢さんは昨年末、定期健診を受けたところ初期段階の食道がんと診断された。今年1月末に食道を全摘出する手術を行い、2月に退院した。1月の記者会見では、6月までの公演をすべてキャンセルし治療に専念、「半年後には元気で出てきます」と復帰を宣言しており、見事に公約を守った。

 約6カ月の療養期間は、不安や昨年手術した椎間板(ついかんばん)ヘルニアの腰の痛みに悩まされたという。そんな中、周囲や、特に家族の支えが気持ちを奮い立たせた。家族については「ラグビーで例えるとスクラム組んで応援してくれた」と涙ながらに話した。現在は、体重を戻すために1日に4~5回食事を取っている。「今年は体の調子を考えて、自分のペースで仕事をしたい」。小沢さんの本格的な復帰は同イベントの「オーケストラコンサート(Bプログラム)」(9月5日)となる。

 [2010年8月2日14時44分

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