タレント島田紳助(54)が04年に所属先の吉本興業の女性社員を殴ってけがをさせた事件をめぐり、女性が島田側に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、約1000万円の支払いを命じた。女性は吉本興業と現在も雇用関係にあることを求めていたが、判決は認めなかった。島田は判決を受けて、謝罪のコメントを発表した。

 島田側は暴行に関する事実関係は争わず、損害額などが主な争点だった。松田典浩裁判官は治療費などの支払いを命じ、会社にも使用者責任があると判断した。

 判決文などによると、同事件は04年10月25日、島田が大阪市の朝日放送で原告の女性の発言に立腹。控室に連れ込み、リュックサックや手で頭を殴ったり、つばを吐きかけたりした。女性は首のねんざや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などと診断され、傷害罪で略式起訴された島田は同年12月、大阪簡裁で罰金30万円支払いの略式命令を受けた。

 同命令後、吉本興業は「民事でも(女性と)和解できるよう努力する」としていたが、06年6月「休職期間満了」として女性を退職扱いにしていた。一方、和解を拒否した女性側は「島田紳助がテレビに出ているのを見ると、当時の恐怖を思い出してパニック状態になることがあるが、裁判で争えるまで回復した」とし、06年8月に、島田と同社に計約4400万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。「事件後、不当に退職させられた」として、同社との雇用関係確認なども同時に求めていた。

 島田は事件から3日後、記者会見を開き、号泣しながら「100%僕が悪い」と謝罪した。その上で当日の女性の態度を説明。女性側は、この会見についても「事実に反する発言で名誉を傷つけられた」と主張した。しかし、判決は「女性の社会的評価を低下させたとは認められない」と退けた。さらに女性側は、吉本興業と現在も雇用関係があることの確認も求めたが、判決は認めなかった。

 [2010年9月22日9時50分

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