2012年のNHK大河ドラマ「平清盛」の主演を俳優松山ケンイチ(25)が務めることが8日、分かった。松山が大河ドラマに出演するのは初めて。松山はどんな役も柔軟にこなせる演技力に定評がある。演じる清盛は、これまでの清盛のイメージと異なる躍動感あふれるエネルギッシュな人間だ。関係者によると、新しい清盛像を作るために柔軟で高い演技力を持つ松山の起用が決まったという。

 12年の大河ドラマ「平清盛」は、清盛が栄華を極めた晩年から始まる「平家物語」とは違い、瀬戸内海の海賊を束ねた、さっそうとした青年時代を中心に、平家一族を率いて栄華を誇るまでの生涯を描く。演じる世代は幅広い。これまでの清盛のイメージとも全く違う。関係者によると、松山の持つ、柔軟にどんな役でもこなす演技力が新しい清盛を描くには必要と判断されたという。

 8月に行われた作品内容発表会見では、プロデューサーがキャストについて「新たな時代に切り込む人間だから、ナイーブな人間よりも力強く、時代に向き合っていける、エネルギッシュな人にやってもらいたい。今回は芝居の力量を含めたキャスティングをしたい」と語っていた。局内の他の番組関係者からも「放送される12年には、最も生き生きしている人にやってもらいたい」という言葉も出ていた。まるで松山を想定しているかのようだった。

 松山は05年の映画「男たちの大和/YAMATO」に出演、06年の映画「デスノート」でブレークした。08年「デトロイト・メタル・シティ」でコミカルな演技が評価された。また12月公開の「ノルウェイの森」では主演のワタナベ役で文学作品にも挑戦するなど、幅広い演技力を披露した。テレビ局関係者も「数字も取れる実力派。いろいろな役がはまる」と、柔軟な演技力を評価する。

 これまでの清盛は、アンチヒーローとして描かれるケースが多かった。この作品では人の心をつかむことにたけた清盛が、海賊を束ね、やがて武士の王となり、日本の覇者になる姿を描く。同会見でプロデューサーも「悪いイメージを一掃する」と語るほど、これまでの清盛に全く別の角度からスポットをあてる。

 大河ドラマは63年にスタートし、12年は50年目の節目となる。NHKはメモリアルイヤーの作品を松山の演技力に託した。

 [2010年11月9日8時11分

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