歌舞伎俳優市川海老蔵(32)が殴られ大けがを負った事件で、警視庁が逮捕状を取った東京都杉並区在住の不良グループの男(26)は、Jリーグ東京Vのジュニアユース(中学生)に所属していた経歴を持つことが11月30日、分かった。事件後、男は「(海老蔵が)髪をつかんで挑発してきたから、ぶっ飛ばした」「(出頭は)めんどくせえ」などと知り合いに話していたという。警視庁はこの男の身柄を確保して逮捕する方針。

 海老蔵に全治6週間の大けがを負わせた男は、東京Vジュニアユースに所属していた元Jリーガー候補だった。元東京V関係者は「小柄ながら攻撃的MFとして才能があったし、相当な潜在能力を持っていた。順調に育てばプロになっていたかもしれない。(今回の件は)非常に残念です」と話した。同ジュニアユースには後に日本代表となる選手も名を連ねていた。

 当時を知る関係者によると、実力を買われてユース(高校生)チームにも昇格していた。しかし、半年もたたないうちに退団。ユース時代に指導した横浜FCの岸野靖之監督は「スピードのある選手だった。明るく先輩からもかわいがられ、高校をやめて他の選手と練習時間が合わなくなった後も、将来のある彼のためにスタッフが朝から練習に付き合った」と振り返る。

 父親は外国人(黒人)で、プロバスケットNBAの選手だったとの情報もある。身体能力は高く、50メートル5秒台の俊足だった。関係者は「父と日本人の母が離婚し、母子家庭に育った。家庭環境は不安定で、肌の色で子供時代から相当いじめられたと聞いた」とも話した。

 男はジュニアユース在籍時から素行不良で、万引などを繰り返していたという。サッカーをやめた後、都内の不良グループに入ったとみられる。元チームメートは「チーム内では驚くほど優しかった」というが、一方では「仲間意識が強すぎて、守るためなら暴力でも何でもありというタイプだった」と話した。

 男の自宅近くの住民によると、子供のころはおとなしく、素直な子だったというが、中学卒業後からよくけんかをしていたという。実家の近くのマンションに妻と2人の子供と暮らしているが、近所付き合いはほとんどないという。

 事件後、男は「(海老蔵が)泥酔していて、最終的に髪をつかんで挑発してきたから、ぶっ飛ばした」「向こう(海老蔵)から(ケンカを)ふっかけた負い目があるから、簡単には訴えてこないだろう」と仲間に話したという。日本テレビの報道によると、男は出頭を促した仲間に「面倒くせえ」と話したという。

 [2010年12月1日9時34分

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