顔を殴られて全治6週間のけがを負った歌舞伎俳優市川海老蔵(32)が警視庁の事情聴取に「早く犯人を逮捕してほしい」と話していることが3日、分かった。逮捕状が出ている元サッカー選手の男(26)の行方は依然として分かっていない。また、暴行現場とされる東京・西麻布の飲食店関係者らが男の仲間の元暴走族リーダーに海老蔵が「頭から酒をかけ、灰皿に入れたテキーラを飲ませようとした」と証言したことについても初めて反論。海老蔵は事情聴取に「無理やり酒を飲ませたことはない」と主張しているという。

 海老蔵を殴った男の行方は、11月29日に逮捕状が出て以来、この日も分からなかった。依然として出頭する見通しも立っていない。海老蔵は警視庁の事情聴取で「歌舞伎俳優として仕事に支障がある。早く犯人を逮捕してほしい」と話しているという。

 さらに海老蔵は、暴行現場とされる東京・西麻布の飲食店関係者や逮捕状の出ている男のグループ関係者らの話が多くの点で食い違っていることを主張。警視庁の事情聴取で初めて反論した。これまで店やグループの関係者は、海老蔵が元暴走族リーダーの「髪を引っ張ったり、頭に酒をかけたり、灰皿に入ったテキーラを飲ませようとした」などと証言してきた。一連の海老蔵の挑発的行為に男が激怒したという内容が伝えられていた。

 それに対し、海老蔵は「僕は相手に無理やり酒を飲ませたことはない」「(リーダーの男と)2人で楽しく酒を飲んでいただけ」「テキーラの一気飲みを繰り返していた」などと話しているという。また、暴行された際「『生意気だ』と背中を蹴られ、殴られ続けた。体を丸めていたら(周囲から)『やめとけ』という声が聞こえた」とも話している。その後、床をはうようにして11階から1階に逃げ出し、タクシーで帰宅したという。

 一方でテレビ朝日系「スーパーモーニング」は、26歳男の関係者を名乗る男の「海老蔵も(元暴走族リーダーの)男を2、3発殴った」「男の全治2~3週間の診断書も取った」という証言を伝えた。現場とされる店の中で複数の血痕が見つかり、DNA鑑定の結果、一部は海老蔵のものと一致したが、別の人のものもあり、警視庁は特定を急いでいる。

 事件発生から9日が経過し、暴行現場で何があったか多くのなぞが残っている。関係者によると、海老蔵側は刑事事件に強い弁護士にアドバイスを求めることにしたという。事件の社会的反響が大きく、この日も2社が海老蔵出演のCM放送を見合わせるなど影響も出ている。そのため、海老蔵側も男の逮捕後の裁判も見通して、刑事事件に詳しい弁護士のもとで、今後の言動にも配慮していくという。事件のあった25日夜に会見し、自宅で取材に応じていた父市川団十郎(64)が27日以降、取材陣に対して無言を通すようになったのも、弁護士の助言があったためという。

 [2010年12月4日7時26分

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