歌舞伎俳優市川海老蔵（３３）が殴られ全治２カ月のけがを負った事件で、警視庁は１０日夜、傷害容疑で職業不詳、住居不詳の伊藤リオン容疑者（２６）を逮捕した。警視庁によると「殴ったことは間違いありません」と容疑を認めている。伊藤容疑者はＪリーグ東京Ｖのジュニアユースに所属した経歴を持ち、東京・六本木を根城にする元暴走族グループのメンバーだった。殴った原因には海老蔵の挑発的行為があったとの疑いも浮上しており、警視庁は伊藤容疑者にトラブルの経緯などを厳しく追及する。
伊藤容疑者は、かつてＪリーグ東京Ｖジュニアユースに所属し、将来を期待されたサッカー選手だった。しかし、けんかや万引など素行の悪さでサッカーをやめ、暴力団との関係も伝えられる暴走族グループと付き合うようになった。１歳の双子の父でもあるが、けんかになると鉄パイプやナイフを振り回し、六本木かいわいでは「キレるとやばい男」として知られた存在だった。
伊藤容疑者は東京都生まれ。黒人系の米国人である父と、日本人の母を持つ。両親の離婚後は母親に育てられた。父親は米プロバスケットＮＢＡの選手だったという情報もあり、関係者によると、伊藤容疑者も「５０メートルを５秒台で走る」という高い身体能力で知られた。中学から高校１年まで所属した東京Ｖジュニアユースでは攻撃的ＭＦとして将来を期待され、東京都Ｕ－１５選抜に選ばれたこともあった。
しかし、子供のころから素行が悪く、学校などでも窓ガラスを割るなどの不良行為を繰り返した。ジュニアユース在籍時から暴走族グループとの付き合いを始め、けんかや万引で問題を起こしてサッカーをやめた。都立高の夜間部も中退している。
サッカーをやめた後は、暴力団との関係も伝えられる都内の暴走族グループと付き合うようになった。けんかでは金属バットやナイフなどを使い「相手の意識がなくなっても殴り続ける」などの凶暴性で、六本木かいわいでは「最強の男」とその名を知られるようになった。
今回の事件現場など、芸能人が多く通う店を通して芸能界とのつながりもあった。一方で「仲間には優しい男」として評価される一面もあり、関係者は「仲間にはアツいが、敵に回すと怖い男」「キレるとやばい男」などと語る。
現在は結婚もし、東京・杉並区の実家近くのマンションで妻と１歳になる双子の子供の４人で暮らしていた。子供を乳母車に乗せて散歩する姿も見られたが、近所の人によると「近所付き合いはほとんどないが、いつも隠れるように歩いていた」という。
［2010年12月11日9時40分
紙面から］ソーシャルブックマーク
