76年のグラミー賞でベスト・ジャズ・パフォーマンス・ビッグバンド部門にノミネートされた米トロンボーン奏者ビル・ワトラス(71)の孫で、シンガー・ソングライター井手綾香(17)が3月16日にミニアルバム「Portrait」でメジャーデビューすることが16日、分かった。

 井手はドラマーの日本人の父親と、ワトラスの長女で米のプロダンサーだった母親の間に生まれ、野生の馬が生息する宮崎県串間市でのびのびと育った。幼いころの遊びは主に、家にあったピアノ。小学1年から習い始め、中学2年でレコーディング機器を父と購入したことがきっかけで作曲を始めた。

 音楽一家のDNAを存分に受け継ぎ、きらびやかな旋律と伸びのある歌声が特徴だ。音楽関係者の目に留まり、高校2年でメジャーデビューをつかんだ。井手は「小学生から歌手が夢だったので信じられません。祖父もとても喜んでくれて。曲を作ったら祖父に電話で曲を聴かせています。特に『あのね』(収録曲)のコード進行がキレイだとほめてもらいました」。このほど、ワトラスが来日公演で宮崎を訪れた際も対面しており「すごくカッコイイし、尊敬します。発声の仕方も教えてくれて、習うことがいっぱい」と話す。

 現在、宮崎日大高芸術科で美術を専攻しており、デビューCDのジャケットも井手が自画像を描いた。作詞、作曲、歌、デザインと4役をこなす。音楽関係者の間では「初めて絢香を聴いた時以来の衝撃」との声も上がる。井手は「将来、グラミー賞も夢といえば夢。でも、まずは身近な人から歌声を知ってもらうことが大切。かっこいいアーティストになることがあこがれです」。絢香、平原綾香に続く「第3の綾香」が音楽界をにぎわせそうだ。