覚せい剤取締法違反容疑(譲り受け)で逮捕状が出され、フィリピンに滞在していたタレント小向美奈子容疑者(25)が25日夜、成田空港着の航空機で帰国した。警視庁組織犯罪対策5課は、小向容疑者が入国審査を通過した直後に逮捕。空港施設内で逮捕状を示された小向容疑者は「違います。知りません」と容疑を否認した。小向容疑者は空港に集まった約100人の報道陣からの「なぜすぐ帰国しなかったのか」との声にも無言を貫き、胸を張って堂々と空港内を歩いた。

 小向容疑者を乗せた航空機は午後7時43分ごろ、成田空港に到着し、同58分ごろになって、小向容疑者が報道陣約100人の待つ到着ゲートに姿を見せた。

 黒いパンツスーツに、白いタンクトップ姿。ハイヒールで地面をたたく音をカツカツと響かせて大股で歩いた。報道陣から「なぜすぐに帰国しなかったのか」など矢継ぎ早に質問を浴びたが、鋭い視線を返し、無言のまま堂々と歩いた。

 警視庁組織犯罪対策5課は、入国審査を終えた小向容疑者を施設内で逮捕。小向容疑者は逮捕状を示された際「違います。知りません」と話した。逮捕後も「事実と違います」と容疑を否認したという。その後、警察車両で警視庁武蔵野署へ移動。小向容疑者は女性警官2人にガッチリ挟まれて後部席に乗り込んだ。途中の高速道路では渋滞に見舞われ、前に座る男性捜査員と時折、話す姿も見られた。

 小向容疑者はこの日午後、渡航先のフィリピン・マニラを出発する際も報道陣の問いかけに一切答えなかった。機内では、最前列の窓側の席に座り、ヘッドホンをして、リラックスした状態。機内食のグラタンなどにはほとんど手をつけなかった。

 逮捕容疑は、昨年5月14日午前0時半ごろ、東京都品川区のホテルで、イラン人の売人の指示を受けた日本人から覚せい剤約0・9グラムを4万円で購入した疑い。警視庁は昨年10月、品川区のホテルで覚せい剤を密売したとして、イラン人と日本人の薬物密売グループを摘発。売人の携帯電話の通話記録から小向容疑者が売人と接触していた疑いが浮上した。09年2月に東京地裁から覚せい剤使用の罪で有罪判決を受け、現在は執行猶予期間中だった。

 小向容疑者は、1月21日にフィリピン入りした後、現地で3月21日まで滞在延長を認められた。一方、今月22日には、警視庁が旅券返納命令を出すように、外務省に要請。外務省が旅券返納命令を出したことで、不法滞在とみなされ、強制退去となる可能性があった。

 21日発売の週刊ポストに掲載されたインタビューでは「日本に戻って、ありのままをお話しします。出頭します」と話していた。逮捕状には「寝耳に水。逃げてるつもりはない、逃亡犯じゃない」と語っていた。