タレント上地雄輔(32)が10日、横浜市中区海岸通の「大さん橋ホール」で著書出版記念イベントを開催中、多くのファンが会場周辺で熱中症の症状を訴え、36人が市内の病院に搬送された。うち7人が入院が必要と診断され、29人は軽症だった。イベント主催者によると女性を中心に予想の倍の約3000人のファンが集結。会場に入れなかった約1600人が炎天下の屋外に並んでいた。横浜市の同日の最高気温は34・3度。神奈川県内には高温注意情報が出されていた。

 「大さん橋のイベント会場周辺でたくさんの人が倒れている」と119番通報があったのは、午後2時52分だった。この日の大さん橋は正午前に横浜市の最高気温だった34・3度を記録し、体感温度は40度を軽く超えていたとみられる。そんな中、午後1時にイベントがスタートした。

 「大さん橋ホール」に入った約1400人が上地とハイタッチを交わす間、残された約1600人は炎天下で待機していた。約1時間30分後、上地とファンがホール外に出てきた時には、外で待っていたグループの中に体調不良を訴える人が現れ始めていた。上地とほぼ全員のファンが記念撮影をし、待機していたグループがホール内に移動を始めたところで、倒れる人が続出した。

 多くの女性が友人らに抱えられてホール内に移動。ぬれタオルや氷で頭部や首筋を冷やしながら、救急隊の到着を待った。上地もふらつく若い女性を抱きかかえて日陰に運び、「暑い中、本当にごめんなさい。気持ち悪い人は手を挙げて」とファンに呼び掛けた。一時はイベントスタッフが救護活動に追われ、会場周辺はパニック状態に陥った。横浜市消防局によると手足の震えや目まい、頭痛などを訴えた10~40代の女性36人が市内6つの病院に搬送された。

 イベントは上地のメッセージフォトブック「KY」を出版したワニブックスが主催。ホームページやファンサイトで開催を告知し、1500人前後の入場者を想定していた。しかし、会場にはイベント開始12時間前の午前1時に100人が列をつくり、著書購入の代わりに配られる整理券を求めて同7時には1000人以上のファンが集結。結局予定を上回る約3000人が殺到し、急きょファンを2グループに分けて開催することにしたが、それがトラブルにつながって午後4時35分に打ち切られた。

 ワニブックスの岩尾雅彦氏(35)は「体調を崩された方、病院へ搬送された方には心からおわび申し上げます。混乱と病人が出てしまったことでこれ以上続けることは危険と判断し中止することにしました」と謝罪。上地も同日中にブログに「オイラが呼ばれて、大事な仲間達が体調崩したり悲しませたら、少なくとも俺の責任です」とのコメントをアップした。