人気タレント島田紳助(55)が23日、“黒い交際”を理由に芸能界を引退した。この日夜、東京・新宿の吉本興業東京本部で記者会見を行い、自ら発表した。今月中旬、過去に暴力団関係者との「親密メール」のやりとりをしていたことが外部から同社に持ち込まれて判明。紳助は「ルール違反をしたので、自分で一番厳しい処分を科した」などと説明した。涙を浮かべたが「悔いはない」と言い切った。今後は「普通の人」に戻って静かに暮らすという。

 午後10時、集まった約300人の報道陣を前に紳助は、険しい表情で頭を下げて言った。「今日をもって芸能界を引退することになりました」。引退という結論に至った理由を「僕があいまいな判断をしたら800人の後輩に示しがつかんと思った。自分に一番重い処分を与えた。悔いはありません。ぶれることなく引退します」と説明した。

 同席した吉本子会社のよしもとクリエイティブ・エージェンシー水谷暢宏社長によると、今月中旬、紳助が05年6月ごろから07年6月ごろまで、数十年来の友人を通じ、暴力団関係者Bさんと携帯電話メールのやりとりをしているなど「一定の親密さをうかがわせる交流」をしていたことが、外部からの口頭による情報提供で判明。社長は情報提供者については明かさなかったが、関係者によると、友人は元プロボクシング世界王者渡辺二郎被告(恐喝未遂罪で実刑判決を受け上告中)という。

 同社は情報について検証した結果、「信頼性が高い」と判断し、日本テレビ系「24時間テレビ」が終了した21日午後10時半ごろ、同社は紳助から初めて直接事情を聴いた。紳助はその場で事実と認め、反省の意思を示した上で「責任をとって引退します」と伝えたという。その後、同社と紳助は電話などでやりとりし、23日午後5時、水谷社長が引退の意向を受理した。

 紳助によると、十数年前に「ある解決できない悩み」が生じ、友人A(渡辺二郎被告)さんを通じ、Bさんが解決してくれたことから、Bさんに対し「人としての恩」を感じ、感謝のメールをAさんを通じて送ったという。04年に、紳助が吉本の女性社員を殴って負傷させた事件の際に励まされ、「ありがとうございます。2人がいるから心強いです」「心の支えになってます」「心はひとつですよね」などというメールをAさんを通じて送ったという。「ただ、会ったのは十数年で4~5回」とした上で「(交流は)僕の中ではセーフだと思っていて、悪いことをしているという意識や交際という認識はなかった。ただ吉本から『業界のルール違反や』『これはアウト』と言われ、認識の甘さを知った。芸能界のルールとして間違っていた」とした。

 仕事関係者や親しい芸能人から、引退撤回を強く求められた話をした際、涙を浮かべた。「泣いたら、後悔してるみたいですけど、熱い思いがうれしかっただけ」。引退は、芸能人ではダウンタウンの松本人志だけに事前に伝えた。松本から「やめないでください」と返信があったが、紳助は「最低の終わり方だが自分のわがままを通させてくれ」とこたえたという。

 今後は「普通の人」に戻ると明言。「明日からは一般人なんで、静かに暮らしていきます。恩返しで、若い人たちが夢を見れるようなことに協力したい。沖縄のサンゴがなくなったから何とかしたいとか、世の中の役に立っていきたい」。一方で「明日からは、書かれたら遠慮せず告訴できる」とも話し、「(芸能界に)まったく未練はない。一瞬テッペンにのぼったんで、悔いもありません」と強調した。