音楽家長渕剛(55)の8年ぶり3回目のNHK紅白歌合戦出場が濃厚になったことが27日、分かった。長渕サイドも前向きで、出演の正式決定は秒読み段階という。東日本大震災の起きた今年の紅白は「あしたを歌おう。」がテーマ。制作サイドは「明るい明日への1歩を踏み出す前向きな紅白にしたい」と考えており、被災地に向けて「歌の力」を大いに発揮した長渕は不可欠な存在とみている。

 長渕は、震災発生後の4月3日に「憎い

 憎い」で始まる散文詞「復興」を発表した。すぐに復興支援をテーマにしたラジオ番組「長渕剛

 RUN

 FOR

 TOMORROW~明日に向かって~」もスタートした。4月中旬には航空自衛隊松島基地(宮城)で、約1500人の自衛隊員の前でライブを行い、過酷な状況で支援活動する隊員を激励した。

 この活動に共鳴したNHKは、7月放送の音楽番組「SONGS」で長渕を取り上げた。甚大な被害を受けた宮城県石巻市の日和山(ひよりやま)公園で、未来を担う地元子供たちと一緒に「TRY

 AGAIN

 for

 JAPAN」を歌う長渕の姿を収録した。

 関係者によると、NHK側からの紅白出演オファーに、長渕サイドは、被災地からの中継など演出面にこだわり、最終交渉が行われているという。阪神・淡路大震災が起きた95年の紅白では前川清、由紀さおり・安田祥子ら4組が、正規の出場枠ではない特別企画として出演し、前川が神戸から中継で歌った例もあり、長渕が同様に「特別枠」での出演も考えられる。

 長渕は90年に紅白に初出場し、冷戦後のドイツ・ベルリンから「乾杯」など3曲を歌った。2回目は03年で「しあわせになろうよ」を歌っている。