「CNNヘッドライン」のキャスターで、「しば漬け食べたい」のせりふのCMで知られたタレント山口美江(やまぐち・みえ)さんが心不全のため、横浜市の自宅で亡くなっていたことが9日、分かった。8日午前、親族に発見された。51歳だった。今年2月から動悸(どうき)や目まいを訴えて通院治療をしていた。亡くなったのは7日とみられる。山口さんは認知症の父親を介護し、06年にみとってからは犬2匹と暮らしていた。通夜は13日、葬儀・告別式は14日に近親者のみで行われる。

 かつて人気者だった山口さんが、1人で逝った。所属事務所によると、8日午前に近所に住むいとこの女性が山口さんに電話したところ応答がなかったという。心配して山口さん宅を訪れ、合いカギを使って室内に入ったところ、山口さんがリビングで倒れていた。すぐに救急車を呼んだが、既に帰らぬ人となっていた。詳しい死因は不明だが、事件性はないという。

 山口さんは、今年に入って、動悸や目まいを訴えていた。「時々おかしい、更年期かしら」などと話すこともあったという。症状は2月になって悪化し、病院に通い始めていた。亡くなったのは7日とみられるが、同日午後5時半ごろに近隣住民が、犬の散歩をしている山口さんを見ており、その後、体調や容体が急変したと思われる。先月28日には雑誌の取材を受け、所属事務所関係者とは今月3日に電話で会話。同関係者は「その時は元気そうでした」と話しており、10日には島根県で講演予定も組まれていた。

 山口さんはモデルとして芸能活動をスタート。87年に、「しば漬け食べたい」とつぶやくキャリアウーマンを演じたCMで一躍人気になった。同年、テレビ朝日系「CNNヘッドライン」のキャスターになり、多分野で活躍した。コント赤信号の渡辺正行や歌手布施明との交際も報じられた。

 一方で騒動やトラブルも絶えなかった。元マネジャーが横領で訴えられたり、拒食、過食症が報じられた。体重増に悩み、96年5月には過度なダイエットで体調を崩して休業し、そのまま芸能界引退を宣言。その直前は、テレビなどで毒舌キャラが定着していた。今年1月27日放送で最後のテレビ出演となったTBS系「爆報!THEフライデー」では、当時の過剰な報道に嫌気が差したことが引退理由と明かした。

 引退後は横浜市内で雑貨店をオープンして話題になった。並行して認知症だった父親を介護し、06年にみとっている。16歳で母親を亡くした山口は生前「ファザコン」だったことを明かすなど、父親への思いは強かったという。

 晩年は犬中心の生活だった。茶色のパグと、白のポメラニアンを飼っていた。近隣住民とも交流していた。昨年5月には店を閉めて介護生活の講演や本を刊行。同11月には「孤独死問題」をテーマにした民放番組に出演するなど芸能活動も再開していたが、メディアに登場する機会は少なかった。

 ◆山口美江(やまぐち・みえ)

 1960年(昭35)9月20日、神奈川県生まれ。上智大外国語学部卒業後、外資系企業でマーケティングや社長秘書を務め、通訳を経てテレビ朝日系「CNNヘッドライン」でキャスターとしてデビュー。フジッコのCM「しば漬け食べたい」で大ブレーク。英語が堪能で「元祖バイリンギャル」と呼ばれた。バラエティーを中心に多数のテレビ番組に出演も、96年に芸能界から引退を宣言。