明日19日発売のJTBパブリッシング「JTB時刻表」と交通新聞社「文字の大きな時刻表」「コンパス時刻表」4月号の表紙に松山ケンイチ(27)と瑛太(29)が登場することが17日、分かった。創刊87年の時刻表で人物が表紙を飾るのは、84年の故上原謙さん、故高峰三枝子さん以来2例目。映画「僕達急行

 A列車で行こう」(森田芳光監督、24日公開)にダブル主演する2人が、新たな歴史を刻む。

 昨年12月に亡くなった森田監督の遺志が、時刻表を変えた。列車が走る風景写真が定番の時刻表の表紙に、森田監督が指揮した「僕達急行

 A列車で行こう」で主演した松山と瑛太が登場する。

 関係者によると、子どものころから鉄道が大好きだった森田監督は、今作品の構想を30年間温め続け、10年9月に始まった撮影時に「時刻表で宣伝したい」と語っていたという。その思いが出版元2社を動かした。昨春の打ち合わせで「コンパス時刻表」での2人の表紙と中面のインタビュー、同社公式サイト「トレたび」の連載が決定。その際、森田監督は「すごいじゃないですか」と大喜びしたという。

 JTBの前身・日本旅行文化協会が1925年(大14)に創刊した時刻表87年の歴史で、人物が表紙を飾ったのは過去1度。「JTB時刻表」の前身「交通公社時刻表」84年12月号に、国鉄(現JR)の熟年夫婦向け乗車券「フルムーン」のCMで夫婦を演じた故上原謙さんと故高峰三枝子さんのツーショットが使われた。アニメのキャラクターとしては、「銀河鉄道999」のメーテルが、09年4月号の「JTB時刻表」の表紙を飾っている。

 近年はインターネットで簡単に時刻が調べられるため、時刻表の発行部数はピーク時の15分の1以下の10万8000部(11年)に減少した。その現状も踏まえ、出版元関係者は2人に期待を込める。「現代を代表する若手俳優おふたりの出演作とのタイアップによって、若い世代の方々にもう1度、1冊の本として構成された時刻表の存在、良さを知っていただきたいという部分もございます」。

 作品同様に“大役”担った2人も「これを機に電車で旅する人が増えてくれたらいいです。僕も落ち着いたら時刻表を手にしながら、旅に行きたいです」(松山)「すごーい。こんなことできるんですか?

 初めて見ました。光栄です」(瑛太)と発売日を楽しみにしている。

 3冊ともに明日19日から発売され、「文字の大きな時刻表」と「コンパス時刻表」は配給の東映直営の劇場でも販売される。

 ◆全国時刻表出版の歴史

 1925年(大14)にJTBの前身・日本旅行文化協会創刊の「汽車時間表附汽船自動車発着表」が国鉄公認となった。48年には鉄道弘済会が「全国時刻表」、50年に交通案内社が「日本時刻表」、日本交通公社が「全国時刻表」を刊行。87年の国鉄民営化を受け「全国時刻表」が終了し、88年に「JR時刻表」。04年に「日本時刻表」が廃刊となり、現在全国時刻表を出版するのは2社で「JTB時刻表」(1150円)「コンパス時刻表」(660円)「文字の大きな時刻表」(960円)の計3冊。

 ◆「僕達急行

 A列車で行こう」

 のぞみ地所の小町圭(松山)とコダマ鉄工所2代目の小玉健太(瑛太)は列車内で出会い、意気投合する。鉄道の見える家にこだわる小町は、コダマ鉄工所寮で生活を始めるが九州支社に転勤。そこで、のぞみ地所が口説けない筑後雅也社長(ピエール滝)と出会うが、小玉を交え鉄道ファン同士で息が合い事態は好転。趣味の鉄道での世渡りはうまくいく2人だが、恋には踏み込めない。