AKB48に、初めて姉妹グループからのメンバー加入が24日、決まった。「AKB48コンサート」のさいたまスーパーアリーナ公演2日目で、SKE48松井珠理奈(15)のチームK加入と、NMB48渡辺美優紀(18)のチームB加入が電撃発表された。AKB48は平嶋夏海(19)米沢瑠美(20)の活動辞退で欠員2人が出ていた。松井珠と渡辺美は期間限定で両48グループを兼任する。

 サプライズ発表された瞬間の衝撃度は、AKB48の6年半の歴史の中でも、最大級だった。姉妹グループからの“移籍”は、前代未聞。戸賀崎智信AKB48劇場支配人の発言に、観客もメンバーも一瞬事態が把握できない。松井珠と渡辺美は、ともに所属グループのエース的存在なだけに、両グループファンが聞いたら、大激怒の内容だ。松井珠は泣きながらへたり込み、SKE48の仲間も一緒に泣き崩れる。渡辺美はぼうぜんとするばかり。進行役の高橋みなみ(20)すら「こんな非情があるのか…」とばかりに涙した。

 ただ、戸賀崎支配人は、意地悪く嫌な間を十分に置いた上で「2人には両グループを兼任してもらいます」と続けた。「兼任」と聞いて、愛着ある所属先を失うことはないと確認した松井珠は、ようやく安堵(あんど)。加入するチームKの大島優子(23)や秋元才加(23)に語りかけてもらい、笑みがこぼれた。

 2人のAKB48への期間限定“留学”の思惑は、48グループ全体の活性化だ。チームKキャプテン秋元才も、チームBキャプテン柏木由紀(20)も「私たちには、刺激で、化学反応が起きるはず。うれしい。それに今まで以上に仲良くなれるし、2人や、その先のSKE48、NMB48にも、いい影響になるように考えていきたい」と歓迎した。

 松井珠は「以前から優子さんや秋元さんに『SKEと一緒に踊ってみたい』と言ってもらっていたのでうれしいです。両グループのために頑張りたい」。渡辺美も「個人的にもNMB48にも勉強になるはず。チームBさんには、私が入って良かったと思ってもらえるようにやらなくちゃ」と意気込んだ。2人はまず、AKB48の劇場公演から仲間入りを果たしていくことになりそうだ。

 2人は、48グループ全体を見渡しても、次世代のエース候補という大器。48グループ全体と、2人のさらなる向上につながるのか?

 中途半端な共倒れに終わるのか?

 秋元康総合プロデューサーから、また1つ劇薬が投与された。【瀬津真也】

 ◆松井珠理奈(まつい・じゅりな)1997年(平9)3月8日、愛知県生まれ。愛称はじゅりな。08年7月、SKE48の1期生オーディションに合格、同10月公演デビュー。11歳でAKB48の10枚目シングル「大声ダイヤモンド」の選抜メンバーに。09年総選挙19位、10年10位。昨年14位。163センチ、血液型B。

 ◆渡辺美優紀(わたなべ・みゆき)1993年(平5)9月19日、奈良県生まれ。愛称はみるきー。10年9月、NMB48の1期生オーディション合格。昨年「Everyday、カチューシャ」で初のAKB48選抜メンバーに。NMB48のデビュー曲「絶滅黒髪少女」ではセンターを務めた。154・5センチ、血液型B。