27日に東京・国立劇場の舞台セリから3メートル下に転落した歌舞伎俳優市川染五郎(39)の父松本幸四郎(70)が29日、事故後初めて染五郎を見舞った後、都内の病院から自宅に戻り、取材陣に対応した。既に公表していた右側頭部と右半身の打撲に加え、右手も骨折していることを明かした。また、病床の染五郎の様子についても語り、事故当時の生々しい状況についても説明した。

 事故後初めて染五郎を見舞った幸四郎は、病院から帰宅すると、自宅前に詰めかけていた取材陣の前で車を降り、染五郎のけがの状況について説明した。幸四郎によると、前日28日、ファクスで報告した「右側頭部および右半身の打撲」に加え、右手を骨折していることを明らかにした。また、「脳に関しても、何度か脳波を検査をしていますが、全く異常はないです」と話し、打撲による脳への影響も現在のところ見られないという。「全治とか、まだはっきりしたことは分かりませんが、2~3日中にお医者さんの方からお話があると思います」と話し、今も詳しい検査結果を待つ段階に変わりはないという。

 病室を訪れた時、「お父さんだよ」と声を掛けると「すみません。すみません」と謝罪を繰り返したという。また、公演が延期になったことに責任を感じ、納得がいかないのか、ベッドから立とうとしたり、動こうとしていたという。

 染五郎の容体について淡々とした表情で説明していたが、「皆さんの応援が奇跡を起こしてくれました。感謝しております。ご迷惑お掛けしたことをおわびします」とファンに向けて謝罪すると目を潤ませた。涙を浮かべながら、「親として、励ましの声はありがたかった」と、言葉を詰まらせながら、感謝の気持ちを口にした。「染五郎は今後もっと素晴らしい舞台をお見せします。また、父として幸四郎として良い舞台をお見せしたいと思っています」と自分に言い聞かせるように話した。