テレビ番組収録で10メートルの高さからプールに飛び込み、全治3カ月の重傷(第12胸椎破裂骨折)を負ったお笑いタレントのスギちゃん(39)が26日、都内の病院を退院して仕事に復帰した。会見には100人以上の取材陣が集結。テレビ界に衝撃が走った高飛び込み事故だが、あえてワイルドに「復帰したらすぐ15メートルやろうと思ってます」とアピールした。事故を契機に各局で体を張った企画への自粛ムードが漂っていることに責任を感じた懸命の訴えだった。

 事故前と変わらぬ袖なしジージャンと短パンジーンズ。だが、明らかに緊張していた。「看板タレント」らしく所属事務所サンミュージックの相沢正久社長が付き添うVIP待遇だったが、無数のフラッシュに表情がこわばった。注目のあいさつ第一声は「これからもワイルドに攻めていこうと思います」だった。

 今月1日、テレビ朝日のバラエティー特番収録で行われた高さ10メートルの高飛び込み企画で、スギちゃんは胸椎を骨折し、全治3カ月の重傷を負った。現在も粉砕した胸椎を支えるため、3本のボルトが埋め込まれている。同企画で女性お笑いタレントのいとうあさこ(42)もケガをしていたことが18日に発覚。前日25日のテレビ朝日社長会見で早河洋社長が「高飛び込み企画は今後行わない」と発表するなど、体を張った企画を自粛する空気が漂っているが、それを食い止めるべく、あえて言った。

 「復帰したらすぐ、15メートルいってやろうと思ってます。そこからさらに15メートルジャンプして、30メートルいってやります」

 さすがに相沢社長にたしなめられたが、「気をつけながらですね。体は張っていきたいなと思っていますけどね」。会見には、テレビ朝日関係者も駆けつけていたが、「僕のケガで企画がなくなっていくのが悲しい。体を張りたかったから芸人になったのに…」と一瞬、寂しそうな表情を見せた。

 完治には至っていない。1カ月足らずの退院で、病院側からは「驚異の回復力」と言われたというが、上半身にはコルセットが巻かれていた。だが、カメラマンから「痛いところギリギリのポーズを」と要求されても嫌な顔をせず、「コーラが地面に置けないんです」と無理に腰を曲げた。

 会見後はお笑い舞台「東京ビタミン寄席」で25日ぶりに仕事復帰。10月1日にはフジテレビ系「笑っていいとも!」でテレビ復帰する。「もっと危険でアグレッシブなお笑いをしていきたい、どんどんむちゃぶりを受けていきますよ」。新ネタは全くなかったが、お笑いタレントらしく「体を張る」ことにこだわった復活会見だった。【三須一紀】<スギちゃんの事故経過>

 ▼9月1日

 千葉県国際総合水泳場で高飛び込み事故発生。

 ▼9日

 ケガ後、補助付きのリハビリで初めて立つ。

 ▼12日

 手術でボルト3本を埋め込む。

 ▼13日

 自力で立つ。

 ▼14日

 モデルのローラがお見舞いに来る。

 ▼15日

 ブログでトイレに歩いて行ったと報告。

 ▼同26日

 東京女子医大病院退院。復帰会見。仕事復帰。

 ▼10月1日

 フジテレビ系「笑っていいとも!」でテレビ復帰予定。